法人が銀行融資を受けるには?必要書類から審査基準までを徹底解説!

法人が銀行からお金を借りるためには様々な書類が必要で、厳しい審査をクリアしなければなりません。
「うちは規模が小さいから銀行融資を受けることは難しい」と考えている経営者の方も多いのではないでしょうか?
確かに銀行融資の審査は厳しいですが規模とは無関係に借りることができますし、代表者が連帯保証人にならなくても借りることができる方法もあります。
法人の資金調達は金利の低い銀行融資で受けることが原則です。
銀行融資の流れや法人が銀行融資を受けるために必要なポイントなどについて詳しく解説していきます。
法人が銀行融資を受けるための流れ


法人が銀行融資を受けるまでの流れは基本的に以下の通りです。
- 銀行へ申し込み
- 銀行の企業審査
- 信用保証協会の審査
- 銀行の審査
- 銀行と対面で契約手続
- 融資実行
信用保証協会の保証をつけて融資を受ける場合の入金までの流れについて詳しく解説していきます。
①銀行へ申し込み
まずは決算書3期分以上を持参して銀行へ融資の相談をしにいきましょう。
この際には「何に」「いくら」必要なのかという点を明確にしておく必要があります。
突然相談に行っても問題ありませんが、スムーズに相談を受けるために事前に電話でアポを取っておくとよいでしょう。
②銀行の企業審査
銀行は初めて融資取引を行う企業に対して企業審査という審査を行います。
この審査は企業の安全性や収益性などを確認する企業そのものに対する審査です。
ここで「融資をしても問題ない企業か」といったことをまずは銀行がチェックします。
企業審査で「問題ない」と判断された場合のみ、融資案件の審査に進むことができます。
③信用保証協会の審査
企業審査で「融資取引をしても問題ない」と判断された企業は、融資案件の審査に進むことができます。
基本的に銀行は新規で取引する中小企業に対して信用保証協会の保証をつけて融資を行います。
そのため融資案件の審査は信用保証協会の審査からスタートします。
銀行が信用保証協会へ保証の相談を上げ、信用保証協会が返済の可否や資金の必要性などを審査します。
④銀行の審査
信用保証協会の内諾が出たら銀行が融資案件の審査を行います。
銀行は信用保証協会の保証さえ得られればリスクはありません。
そのため、この段階で銀行が行う審査は書類が具備されているか、申込内容に虚偽がないかというとを審査で確認されます。
特に申込内容や書類に問題ないのであれば、ここで晴れて本審査通過です。
ここまでの流れで2週間〜3週間程度の時間がかかってしまうこというとを理解しておきましょう。
⑤銀行と対面で契約手続
審査に通過した後は契約手続です。
銀行融資の契約手続な対面で行われることが基本です。
審査に通過したら法人代表者が銀行へ行きましょう。
契約手続は銀行との契約と信用保証協会との契約の2種類行わなければなりません。
そのため、記入する契約書類の数は多く、手続きには2時間程度かかかってしまいます。
また、契約の際には様々な公的書類が必要になります。
事前に必要書類を確認し、漏れのないように役所などで必要書類を取得しておくようにしましょう。
⑥融資実行
審査に通過し、契約手続を不備なく完結することができれば融資を受けることができます。
契約手続を終えた当日に融資を受けることもできるので、早くお金が欲しいという方は、午前中に契約手続を終えてしまいましょう。
法人が銀行融資を受ける時には保証人は必要?


法人が銀行融資を受ける場合、連帯保証人は必要なのでしょうか?
基本的に代表者は連帯保証人にならなければなりませんが、今は一定の条件を満たせば代表者保証なしでも融資を受けることができます。
原則的に代表者は保証人
中小の法人が銀行などの金融機関から融資を受ける際には原則として代表者が連帯保証人となる必要があります。
代表者は法人のお金を自由に動かすことができる権利を有しているため、法人が借りたお金を代表者個人が流用してしまう可能性があります。
また、中小企業にとって法人と代表者個人の会計は一体化していることがほとんどです。
代表者に法人と同じだけの法的責任を負わせるため、中小企業の融資の際には原則として代表者は連帯保証人にならなければなりません。
第3者保証は不要
銀行融資では会社とは無関係の第3者を連帯保証人とすることはしていませんし、今はほとんどの銀行で禁止されています。
返済能力のある第3者を連帯保証人として信用力を補完し、信用力のない法人に対して融資を実行するということはバブル崩壊前には盛んに行われていました。
しかし、これによって会社経営とは無関係の連帯保証人個人の生活を破綻させてしまうといいう事例が相次ぎ社会問題化したため、コンプライアンス重視の銀行は今は第3者を連帯保証人とする融資の取り扱いは行っていません。
法人融資で連帯保証人となるのは代表者のみです。
法人が代表者保証なしで融資を受けるには
法人融資においては代表者が連帯保証人となるのが原則です。
しかし、代表者の連帯保証には以下の問題があると以前から指摘されていました。
- 会社と会計が分離されている代表者の生活を壊してしまう可能性がある
- 事業承継が進まない
特に事業承継を行う場合には、連帯保証人としての地位も新しい代表者が承継することになり、後継経営者は事業承継することによって自分が作った訳でもない借金を保証することによって自分個人の生活が破綻してしまうリスクを背負うことになってしまいます。
そのため、金融庁は「経営者保証のガイドライン」というものを公表し、以下のような基準を満たしている法人に関しては代表者保証なしで融資を行うようになっています。
- 法人と経営者との関係の明確な区分・分離
- 財務基盤の強化
- 財務状況の正確な把握、適時適切な情報開示等による経営の透明性確保
法人と経営者個人の会計が明確に分離されており、経営者保証なしでも財務基盤が安定し、さらには会社が情報開示などの透明性が確保されている場合には代表者が連帯保証人となっていても外すことができるようになっています。
まずは、金融機関へ相談してみましょう。
法人が銀行融資を受ける時の必要書類とは?


法人が銀行融資を受ける際には主に以下のような書類が必要です。
- 決算書3期分
- 資金繰り表
- 法人印鑑証明書
- 代表者印鑑証明書
- 商業登記簿謄本
- 代表者住民票
- 納税証明書
これらの書類は最低限必要になるもので、審査の過程で取引先からの入金が確認できる通帳のコピーや契約書などの提出を求められることは珍しくありません。
このような銀行の要求に積極的に応じるかどうかも銀行が企業を評価する重要なポイントとなっていますので、書類提出の要求には積極的に答えるようにしてください。
法人が銀行融資を受ける時の金利や限度額は?


法人が銀行融資を受ける時の金利や限度額はどのように決まるのでしょうか?
制度融資以外の融資では、金利も限度額も審査によって柔軟に決定すると考えておきましょう。
法人が銀行融資を受ける際の金利や限度額の決定方法について詳しく解説していきます。
プロパー融資は格付に応じて決定する
信用保証協会の保証をつけずに銀行が100%の責任を負う融資であるプロパー融資の金利や限度額は格付けによって決定します。
金利は銀行内部の決めりによって決まっており、例えば「格付けAの適用金利は1%〜2%」などと定められています。
また、融資限度額は当該企業の希望や返済能力に応じて企業審査において銀行が決定するので、この範囲内の貸付となります。
制度融資は制度ごとに決められた金利
地方自治体が制度設計をしている制度融資ではあらかじめ商品に応じて金利や限度額が決まっています。
例えば東京都の小口資金は「融資限度額2,000万円」「金利1.9%〜2.5%」とあらかじめ商品に応じて金利や限度額が決められています。
この範囲内で銀行や信用保証協会が必要と認めた金額を借り入れることになります。
ビジネスローンの金利は高い
銀行にも民間の信販会社が保証会社となっているビジネスローンの取り扱いがあります。
ビジネスローンもあらかじめ金利や限度額が決まっており、例えばみずほ銀行のビジネスローンであるスマートビジネスローンは「限度額1,000万円」「金利1%〜14%」と決まっています。
ビジネスローンは銀行融資の中では最も金利が高いですが、その分審査が甘く、信用保証協会の審査に通過することができない法人でも比較的簡単に審査に通過することができます。
法人が銀行融資を成功させるポイント!!


法人が銀行融資を成功させるには主に以下のポイントを満たす必要があります。
- 債務超過でないこと
- 赤字が続いていないこと
- 前回融資から1年以上の間隔が空いていること
- 経営者として信頼できる人柄であること
- 資金使途が明確であること
- 融資によって業績の向上が見込めること
基本的には上記のポイントを全て満たすことができれば融資を受けることができる可能性は高いと言えるでしょう。
法人が銀行融資を成功させるための6つのポイントについて詳しく解説していきます。
①債務超過でないこと
債務超過でないことが銀行融資を受けるにあたって基本的に必要になる条件です。
債務超過とは、負債の総額が総資本を上回り、資本金がマイナスになっている状態です。
債務超過の会社は借金で会社を運営しているだけですので、借入金がストップした段階で資金ショートして倒産する非常に危険な状態です。
一時的に大赤字を計上し、今は黒字を続いておりいずれは債務超過が解消できる見込みであるのであれば問題なく融資を受けることができる可能性があります。
しかし、債務超過を解消する見込みがないのであれば、非常に危険な状態と言えるので審査に通過することは難しいでしょう。
貸借対照表で資本の部がマイナスになっていないかどうかはしっかりと確認するようにしてください。
②赤字が続いていないこと
営業赤字が続いている企業も融資を受けることは難しいでしょう。
営業収支とは本業での収支を表すものです。
事業活動の売上から原価や経費を控除した場合の利益で、営業収支が赤字ということは事業を継続すればするほど赤字が大きくなっていくということです。
一過性の赤字であれば全く問題ありません。
リーマンショックやコロナ禍のような社会的な大不況時は多くの企業が赤字になりますが、このような赤字の場合にはお金を借りることができる可能性があります。
しかし、3年以上連続して営業赤字になっている場合には、事業を継続しても利益を出すことは難しいと判断されてしまいます。
このような企業は本業で利益が出せない分、借金で会社を回しているだけですので融資を継続すればするほど傷が大きくなってしまいます。
営業赤字が継続している企業も利益を出すことは不可能です。
③前回融資から1年以上の間隔が空いていること
銀行はよほどの理由がない限り、前回融資から1年以上の時間が空いていない企業へ融資を行うことはしません。
前回融資から1年未満で融資に申し込んでも「よほど業況が悪い」「資金繰りの計画がおかしい」などと判断されて融資を受けることは難しくなります。
前回融資から1年以上の時間を空けて申し込みをするようにしましょう。
④経営者として信頼できる人柄であること
経営者としての人柄や資質などの数字からは判断することができない情報も非常に重要です。
- 業界動向をしっかりと理解しているか
- 同業他社と比較した場合の強みを言えるか
- 将来のビジョンを持っているか
- 従業員への教育はしっかりとできているか
- 銀行の依頼に協力的か
などといったことが審査ではしっかりとチェックされています。
銀行との面談では、銀行の依頼には積極的に応じるとともに、銀行員の質問にはスムーズに答えることができるよう、業界の状況や自社の財務状況についてあらかじめ予習しておきましょう。
⑤資金使途が明確であること
借りたお金を何に使うのかという「資金使途」も審査では非常に重要です。
いくら返済できるからと言っても必要もないお金を融資することはしません。
そのため、「何に」「いくら」「なぜ」必要なのかということを明確にして、銀行が「この資金がこの企業には必要だ」と思えるような説明をしましょう。
⑥融資によって業績の向上が見込めること
銀行は消費者金融とは異なるので、ただ融資したお金に利息がついて戻って来ればよいというわけではありません。
融資金によって企業の業績が向上することが必要な条件です。
運転資金を借りるのであれば、運転資金によっていくらの収益確保が見込めるのかなどという見込みを銀行に示すことができるかどうかが重要です。
例えば、「取引先から1,000万円の受注が来た。受注に必要な運転資金として500万円を借りたい」などの明確に運転資金を活用して売上の向上を図ることができる使い道の方が審査には通過しやすくなります。
融資の際には資金繰り表の提出が必要ですが、ここで融資実行後は売上の拡大が見込めるということを根拠をつけて説明できるようにしておきましょう。
まとめ


法人が銀行融資を受けるには、基本的には信用保証協会の保証をつけることになります。
申込窓口は銀行で問題ありませんし、企業の印象を信用保証協会に伝えるのも担当の銀行員です。
そのため、銀行に対して「この会社は融資をしても返済には問題ないだろう」と判断されることが最も重要です。
決算書の内容が良好であることはもちろん、業界動向の把握や将来のビジョンなど数字からは見えない定性的な評価も非常に重要になります。
審査のポイントをしっかりと押さえるとともに、銀行と良好の関係性を築き金利の低い銀行融資をスムーズに受けることができるようになりましょう。