銀行融資において連帯保証人が負う義務と死亡した場合の対処を解説

2020-12-02

連帯保証人

「連帯保証人にだけはなってはいけない」などと親などから聞かされたことがある人も多いのではないでしょうか?

連帯保証人になる人にとってはリスクが高いことは間違いありませんが、その分、借主の信用度は上がりますし、銀行が連帯保証人の設定を要求することは必ずしも債権者のためだけではありません。

銀行融資における連帯保証人の意味と、審査における連帯保証人の効果、そして連帯保証人を付けるリスクについて詳しく解説していきます。

連帯保証人が死亡した場合の対応についても解説していきますので、詳しく理解しておきましょう。

銀行融資において連帯保証人が必要なケース

連帯保証人になるサイン

銀行融資おいては、以下の3つのパターンで連帯保証人の設置を要求されることが一般的です。

  1. 担保物件の所有者
  2. 法人融資の際の法人代表者
  3. その他信用を補填する場合

銀行融資で連帯保証人が必要になる3つのケースについて、まずは具体的に理解しておきましょう。

①担保物件の所有者

私たち個人が連帯保証人という言葉に最も多く接する機会が、住宅ローンなどで担保を銀行に提供する場面です。

担保物件の所有者が借主である場合には連帯保証人は必要ありません。

しかし、担保物件の所有者がローンの借主とは異なる場合には担保物件の所有者を連帯保証人としなければお金を借りられないことがあります。

例えば、親が所有する土地に子供が住宅を建築する際の住宅ローンでは、土地の所有者である親が連帯保証人とならなければならない場面がよくあります。

②法人融資の際の法人代表者

法人が融資を受ける場合には、その法人の代表者が連帯保証人となることが一般的です。

この保証を代表者保証と言います。

代表者保証は、以前は法人が融資をする際には当たり前のように行われていましたが、現在は一定の条件を満たせば代表者保証が不要となる融資も登場しています。

しかし、代表者保証を付ける必要のない融資は財務状態が良好などの一定の条件を満たさなければならないので、財務体質の弱い中小企業にとっては現実的とは言えません。

多くの中小企業は「法人名義でお金を借りたら代表者保証が必要になる」と理解しておいた方がよいでしょう。

③その他信用を補填する場合

この他、借主本人の信用を補填する場合に連帯保証人が要求されることがあります。

例えば、学生が学生名義で教育ローンを借りる場合などは、保護者である親が連帯保証人になる必要がある場合があります。

また、収入から見て高額の借入をする場合なども、本人の収入だけでは返済可能性が疑わしいため、連帯保証人を要求することによって、本人の信用を補填することがあります。

また、以前は金融機関の方から「あの会社の社長は信用があるから連帯保証人としてお願いできませんか?連帯保証人になるなら融資しますよ」などと、借主とは無関係な第三者を連帯保証人として要求して融資を行う場面がよくありました。

このように、本人単独では借り入れが難しくても、連帯保証人を設定することによって、本人の信用が補填され、融資を受けることができる場合があります。

今は関係のない第3者保証は取らない

今は関係のない第3者保証は取らないことを説明する女性銀行マン

連帯保証人が必要になるのは、基本的には上記の3つのパターンのうち、「担保物件の所有者が借主と異なるケース」と「法人融資の際の法人代表者」というケースだけです。

本人の信用を担保するための連帯保証人の設定は今はほとんど行われなくなりました。

バブル期以前は、本人に信用がなくても「収入や資産のある連帯保証人さえ連れてくれば融資を受けられる」という時代が現実に存在しました。

しかし、他人の連帯保証人となったことによって莫大な債務を背負い、連帯保証人が破産したり自宅が奪われたり、一家離散したり、自殺したりするというケースが相次ぎ社会問題化します。

これが一般的に「連帯保証人は怖い」と考えられている原因です。

近年は、連帯保証人が抱える上記のような問題点に鑑みて、連帯保証人の信用を当てにした融資は行わないようになっています。

基本的に連帯保証人は担保物件の所有者や法人代表者だけで、借主や担保とは無関係な第三者保証は行いません。

銀行に「会社の社長を連帯保証人にするからお金を貸してくれ」などと申し出てもまず相手にはされないため注意しましょう。

義務は借主と同じ!連帯保証人の義務とは?

連帯保証人

では、連帯保証人とはどのような義務を負わなければならないのでしょうか?

基本的に連帯保証人には通常の保証人にはある以下の3つの権利がありません。

  1. 催告の抗弁権
  2. 検索の抗弁権
  3. 分別の利益

上記3つの権利がないからこそ、連帯保証人は借主と同じだけの返済義務を負うことになり「連帯保証人にはなってはいけない」と言われるのです。

連帯保証人にはない3つの権利について詳しく解説していきます。

①連帯保証人は催告の抗弁権がない

連帯保証人は借主と同じだけの返済義務を負っています。

そのため、債権者は借主よりも先に連帯保証人に対して請求することができる権利があり、例え債権者が先に連帯保証人へ「返済してくれ」と請求したとしても、連帯保証人は「先に債務者へ請求してくれ」とか「他の連帯保証人へ請求してくれ」などと主張する権利がありません。

連帯保証人である以上は、いつ、どのようなタイミングで請求を受けても抗弁する権利がないということです。

一般的には先に債務者に対して請求が行われますが、あくまでも法的には債務者と同じだけの返済義務を負っていると理解しておきましょう。

②連帯保証人は検索の抗弁権がない

検索の抗弁権とは、例えば連帯保証人が債権者から債務の弁済を請求されたとき、

「借主は本当は資産を持っているからよく調べてくれ」
「自分よりも他の連帯保証人の方が資産があるから調べてくれ」

などと主張する権利です。

連帯保証人は債権者から請求された以上は、他の債権者の資産の状況に関わらず、返済を履行しなければなりません。

また、「債務者や他の連帯保証人のこともしっかりと調べてくれ」と抗弁する権利もありません。

③連帯保証人は分別の利益がない

連帯保証人には分別の利益がありません。

分別の利益とは、例えば債務が3,000万円、連帯保証人が3人存在した場合、「3人で1,000万円ずつ返済する」などと返済義務を分けるよう主張する権利がないということです。

債権者は1人の連帯保証人だけに全額請求することも、3人のうち2人に請求することも可能で、どの連帯保証人にどのように請求しても債権者の完全な自由です。

連帯保証人に対しては債権者はどのような配分で請求することもでき、いくら連帯保証人のうち1人だけが不利益を被ることになっても、連帯保証人には抗弁する権利はありません。

このように連帯保証人は、完全に債務者と同じだけの返済義務を負うことになるということを理解しておきましょう。

審査における連帯保証人の意味

審査における連帯保証人の意味を調べる女性

銀行融資の審査の場面では銀行が連帯保証人の提供を要求してくることはよくあります。

では、銀行はなぜ連帯保証人を要求するのでしょうか?

その主な理由は基本的に以下の2つです。

  1. 借主の信用を補填するため
  2. 不動産所有者の利益を守るため

銀行融資の審査における連帯保証人の意味について詳しく解説していきます。

①借主の信用を補填するため

連帯保証人を設定する理由の1つが借主の信用を補填するためです。

収入の低い借主に対して収入が多い人を連帯保証人として設定すれば、債権者にとって当該融資の返済可能性は一気に高くなります。

今はそのような第三者保証は行わなくなりましたが、法人融資の際の代表者保証も同じことです。

法人に融資をした場合、そのお金の使い道を決めているのはほとんどのケースで法人代表者です。

融資を受けた後、法人代表者が法人名義で借りたお金を持ち逃げしてしまった場合、債権者としては回収することが不可能になってしまいます。

法人代表者を連帯保証人としておけば、法人の借金な代表者の借金になるので、融資金の返済に対して代表者は真剣になるでしょう。

このように仮主の信用を補填するために、法人代表者が連帯保証人として請求されます。

②不動産所有者の利益を守るため

連帯保証人が設定されるケースとして担保物件の所有者です。

このケースでは、債権者のためというよりも担保物件の所有者の権利を守るために連帯保証人として設定されます。

例えば、親が所有する土地のうえに子供が住宅ローンを借りて家を建てたとき、この住宅ローンを子供が返済できなければ、通常は親が所有する土地は差し押さえられ競売にかけられてしまいます。

こうなってしまうと、担保となってある土地を取り戻すことは不可能です。

しかし、土地の所有者が連帯保証人となっていることによって、連帯保証人には「土地を失うか債務者に代わって借入金の残金を返済するか」という選択肢が生まれることになります。

お金がないのであれば土地を失うしかありませんが、お金の都合がつくのであれば土地を守るという選択をすることも可能です。

このように、担保物件所有者の権利を守り、選択肢を与えるために、担保物件所有者を連帯保証人とすることがあります。

連帯保証人が死亡したらどうなる?

病人

連帯保証人が死亡したら、当該融資における連帯保証人がいなくなってしまいます。

連帯保証人が死亡した場合には、当該銀行融資や銀行の対応はどのようになるのでしょうか?

基本的には代わりの保証人を探してくる必要があるものの、交渉の余地はあります。

連帯保証人が死亡した場合の対応についても理解しておきましょう。

相続をすれば連帯保証人の地位も相続する

まず、基本的な相続の知識として理解しておくことは「相続は被相続人の債務や義務も引き継ぐこと」だということです。

例えば親が死亡して、親が借金を抱えていたのであればその借金も相続人が引き継ぐことになりますし、親が誰かの連帯保証人になっていた場合には連帯保証人としての義務も引き継がなければなりません。

これらの義務から逃れるには、相続放棄や限定承認の手続きをするしかありませんが、これらの手続きを相続の発生があったことを知った日から3ヶ月以内に行わない場合には、借金や連帯保証人としての義務は相続人が引き継ぐことになります。

従って、連帯保証人が死亡した場合は、相続人が連帯保証人になるということが基本だと、まずは理解しておきましょう。

代わりがいない場合は新たな保証人を探すように言われることも

死亡した連帯保証人に誰も相続人がいない場合、相続人が借主の場合、相続人全員が相続放棄をした場合、このようなケースでは相続によって新たな連帯保証人が見つからないことになります。

このようなケースでも債権者は「仕方ないですね」とは言いません。

基本的には、死亡した連帯保証人に代わる保証人を探してくるように言われます。

見つからない場合には、期限の利益を喪失して、一括返済を求められる可能性もあるので十分に注意しましょう。

連帯保証人が死亡した場合には、代わりの連帯保証人を探してくるということがまずは大原則になります。

交渉すれば連帯保証人を外してもらえることもある

新しい連帯保証人を探すように言われても、簡単に連帯保証人を見つけることができるわけはありません。

このようなケースでは銀行と交渉することによって連帯保証人を外してもらうことができる場合があります。

今は第三者保証を取らないことが当たり前になっているためです。

これまで遅れなく返済することができていたようなケースでは、連帯保証人を外すことができる可能性が高いので、該当する方は交渉してみましょう。

法人代表者が死亡した場合

法人代表者が死亡した場合には、新たな代表者が連帯保証人になるように言われることが一般的です。

しかし新しい代表者とすれば、自分が作ったわけでもない借金の返済義務を負うことに抵抗があります。

事業承継の際に会社の借金を代表者保証しなければならないが故に、親などの会社を継ぎたくないと考える人が多く、代表者保証が事業承継を妨げていることは社会問題になっています。

そこで、金融庁は「経営者保証のガイドライン」というものを策定し、以下に該当するような場合には、代表者保証を外すことができる場合があります。

  1. 法人と経営者との関係の明確な区分・分離
  2. 財務基盤の強化
  3. 財務状況の正確な把握、適時適切な情報開示等による経営の透明性確保

経営者の個人的な支出が法人の経費計上されていないなど、法人と経営者との関係が明確に分離している場合や、法人が更なる財務基盤の強化に努めること、さらに財務状況を経営者が正確に把握するとともに、適時情報開示を行うなどして経営の透明性を測っている場合には、代表者保証が外れることがあります。

事業承継の際に、会社の財務内容が良好で情報開示もしっかりと行っているのであれば、新しい経営者は連帯保証人となる必要が必ずしもありません。

以前の社長が死亡した時には、銀行へ「代表者保証が外れるか」ということを確認してみましょう。

まとめ

連帯保証人には、通常の保証人には存在する以下の3つの権利がありません。

  1. 催告の抗弁権
  2. 検索の抗弁権
  3. 分別の利益

まさに借主と同じだけの返済義務を負わなければなりませんが、今は以下の2つの意味で設定されることが多くなっています。

  1. 借主の信用を補填するため
  2. 不動産所有者の利益を守るため

連帯保証人が死亡した場合には、相続人が連帯保証人としての地位を相続するものですが、今は銀行と交渉することで代表者保証も含めて外すことができる場合があります。

非合理的な連帯保証人の設定を要求された場合には、積極的に交渉してみましょう。