銀行融資の審査を通すための交渉術とは?審査を有利に進めるポイントを徹底解説します!

銀行融資を受けるためには審査に通過しなければなりません。
しかし、銀行融資はカードローンの審査のようにコンピューターが行うわけではないので、銀行との交渉や話し方次第で有利になったり不利になることがあります。
銀行融資を有利に進める方法が分からないという人がほとんどではないでしょうか?
銀行が事業資金審査の際にチェックするポイントは大抵決まっているので、ポイントさえしっかりと抑えておくことで比較的簡単に融資を受けることができますし、金利面で有利になることもあります。
銀行融資を通すための交渉術を理解して、できる限り有利な条件で資金調達することができるようになりましょう。
銀行融資の金利や条件交渉を優位に進めるコツとは?


銀行融資を有利に進めるにはいくつかコツがあります。
自社の業況が良い時に申し込みを行うということの他に、以下のような点を交渉を有利に進める条件としてあげることができます。
- 書類をしっかりと揃える
- 知り合いの社長に銀行を紹介してもらう
- 業況が悪化した決算書や試算表が揃う前に申し込む
- 銀行員と個人的な人間関係を強くする
- 銀行員に対して夢や希望をしっかりと語る
決算書などの数字面で良い状態であるというのはもちろんですが、銀行と人間関係をしっかりと構築しておき、銀行にとって「融資を断れない存在」になることは非常に重要です。
銀行融資を有利に進めるための5つのポイントについて詳しく解説していきます。
1,書類をしっかりと揃える
まずは必要な書類をしっかりと揃えることが大切です。
特に銀行融資では審査の途中で「この書類を用意してくれ」と審査担当者が依頼してくることが珍しくありません。
この書類を遅滞なくすぐに揃えることで、銀行からの印象がよくなるのと同時に、真面目な経営者だと定性的な評価(数字からは見えない経営者の資質などの評価)が向上することがあります。
当初言われた書類を完璧な状態で揃えて提出することはもちろん、後から提出を依頼された書類についても、嫌な顔することなく速やかに提出するようにしましょう。
2,知り合いの社長に銀行を紹介してもらう
経営者仲間の社長などに銀行を紹介してもらうという方法も非常に有効です。
紹介された銀行は、自社に対する融資を断ってしまったら紹介してくれた社長の顔を潰すことになってしまいます。
できる限り業績が良好で大規模な会社の社長に銀行を紹介してもらうことで、自社が「銀行にとって大切なお客様から紹介された大切な顧客」という扱いになり、銀行の対応も変わってきます。
取引する銀行が決まっていないのであれば、知り合いの社長に銀行を紹介してもらうのがよいでしょう。
3,業況が悪化した決算書や試算表が揃う前に申し込む
業績が悪化した決算書や試算表が揃う前に融資の申し込みを行うことも大切です。
「次の決算は悪そうだ」と事前にわかっているのであれば、業績が悪化した決算になってしまったら融資を受けることが難しくなります。
業績悪化の結果が記録された決算書や試算表が直近の決算書類になってしまう前に早めに申し込むことで、業績悪化する前の会社の状態に対して審査を受けることができ、悪化後よりも審査で明らかに有利になります。
業績悪化が決定的になっているのであれば早めに動くことが大切です。
4,銀行員と個人的な人間関係を強くする
銀行員と個人的な人間関係を作っておくことで融資に有利になる傾向があります。
銀行員も人間ですので、仲のよい社長からの頼みは断りにくいのが実情です。
そのため、仲の良い社長から融資の申し込みがあった時には、信用保証協会に「絶対に保証してくれ」とかなり熱意を持って頼み込むこともあります。
銀行員と仲良くなるために、定期的に飲食の機会をもつ、銀行からの頼みは快く応じてあげるなど心がけるようにしましょう。
特に銀行員はクレジットカードや積立やセミナーの動員などの細かいノルマを抱えていることがよくあります。
このような頼みを普段から聞いてあげることで、自社が困った時にも親身になって銀行も力になってくれる傾向があります。
5,銀行員に対して夢や希望をしっかりと語る
銀行員に対して、会社の夢や希望や、社会的貢献などについて熱意を持って語るということも非常に重要です。
審査には決算書などの数字から判断される定量評価と、数字ではなく経営者の資質などが評価される定性評価がありますが、経営者が会社経営に対して熱意を持っているということは定性評価的にプラスになります。
自分の仕事や会社に対してかけている夢を大いに語るようにしましょう。
銀行融資の交渉時にやってはいけないことがある


反対に、銀行融資の交渉の際に、行動によって融資が不利になってしまうこともあります。
前述したように、銀行と会社経営者の関係は人間関係で構築されていることが多く、これを壊すような以下の行為をしてしまうと融資に不利になってしまうことがあります。
- 「いくら借りられる?」と交渉する
- 銀行員を脅すような態度
- 別の金融機関から借入をする
- 預金を勝手に引き出す
- 保証協会と直接交渉する
銀行融資の交渉の際にタブー視されている5つの行動についても理解しておきましょう。
1,「いくら借りられる?」と交渉する
最もよくある失敗ケースが、銀行の窓口に決算書を叩きつけ、「この内容でいくら借りられる?」という人です。
必要もない資金を貸すことは銀行はしないので、いくら借りることができる?という態度はNGです。
借りたお金を良からぬことに使ってしまうのでは?と危惧されるだけになってしまうので、「いくら借りれる?」ではなく、「この目的にいくら必要なのだが、借りられるか?」という態度で相談するようにしましょう。
金額ありきではなく、目的ありきで話すことが大切です。
2,銀行を脅すような態度
銀行員を脅すような態度も禁物です。
担当者がついているのに「お前では話にならないから上司を出せ」とか、「金融庁に貸し渋りでチクってやる」というような態度です。
このような高圧的な人間にお金を貸してしまったら、返済してくれるかどうか分かりませんし、督促した場合も開き直る可能性があります。
銀行はリスクを嫌いますので、銀行に対して高圧的なリスクの高い人間に対しては「この人に対して融資をするのはやめよう」と判断され、最悪の場合には以後すべての取引を断られてしまう社内ブラック扱いになってしまう可能性があります。
銀行との話し合いはあくまでも謙虚に行うようにしてください。
3,別の金融機関から借入をする
メインの銀行や既に相談している銀行があるにも関わらず、他の金融機関へ浮気をしてしまうという態度もNGです。
メインの銀行はメインバンクとして当該企業の資金繰りを円滑にするという社会的な使命を背負っています。
ところが、他の金融機関へ浮気をしたことによって、メインバンクとしての責任は曖昧になり「そんなに他所に行きたいなら他所で借りればいい」と、いう態度になってしまい自社に責任を持ってくれる金融機関が不明瞭な状態になってしまう可能性があります。
また、他の金融機関へ申し込みをしても、結局は同じ地域の信用保証協会が保証をするため、同じ融資枠で借入を行なっているのと同じです。
ほとんど意味はありませんし、他へ相談すると信用保証協会から「他の金融機関に相談していますよ」とメインバンクへ連絡が行くことがあるので、浮気をしたことはバレてしまいます。
いいことは何もないので、民間金融機関の浮気はやめた方がよいでしょう。
4,預金を勝手に引き出す
銀行に預けてある定期預金などを銀行に黙って引き出すという行為も信用を損なう行為です。
銀行は預金量も大切にしているため、預金を勝手に引き出すことによって、その支店が抱えている預金量の目標が未達成になってしまうかもしれません。
また、企業も「預金がこれだけあるから万が一の時も安心」と、銀行からの企業の信頼の源泉が銀行に預けてある預金に拠っているところがある可能性もあります。
つまり、預金を勝手に下ろすと、銀行からの心象も悪くなりますし、自社の銀行からの評価が下がる可能性もあります。
どうしても預金を下ろしたい時には、事前に銀行に使い道を伝えた上で下ろすようにしましょう。
5,保証協会と直接交渉をする
銀行を差し置いて信用保証協会と直接交渉するという行為もやめておいた方がよいでしょう。
本来的に信用保証協会と交渉するのは相談を受けた銀行です。
メインバンクが存在するのに、メインバンクを差し置いて信用保証協会に相談するということは、銀行の担当者が信用保証協会に「この担当者は顧客から信頼されていない」と思われる可能性が高い、銀行の担当者のメンツを潰す行為になってしまいます。
銀行の担当者の心象を悪くしないためにも、まずは銀行へ相談するようにして、いきなり信用保証協会には相談に行くのは控えましょう。
交渉不要?金利交渉が成功しやすい条件とは?


以下のような条件下においては粘り強い交渉をしなくても、銀行の方が比較的簡単に金利引き下げに応じてくれる可能性ががあります。
- 業績が向上している
- 有力な担保を提供している
- 他行から低金利融資の提案があった
これらの条件を具備している企業は、銀行にとって「金利を引き下げてでもお金を借りて欲しい企業」ということができます。
金利引き下げが有利になる3つの状況について解説します。
1,業績が向上している
業績が向上している企業というのは、融資金がさらなる業績向上のための設備投資や増加運転資金に使われる可能性が高いといえます。
融資の本来的な役割とは、融資金によって企業業績が向上するということですので、業績が向上している企業に対して銀行は融資をしたいと考えます。
そのため、金利交渉はかなり有利に進む傾向にあります。
2,有力な担保を提供している
融資金よりも高額な担保を提供している場合は、もしも返済ができなくても銀行の回収可能性が非常に高いので金利面は有利になる傾向があります。
確実に回収に充てることができる預金担保などの場合には、さらに低金利で融資を受けることができるでしょう。
3,他行から低金利融資の提案があった
他の金融機関から低金利融資の提案があった場合には、金利引き下げ交渉は非常に有利になります。
今やお金の借り手がいないために銀行経営が苦しい時代です。
そのため、融資は金融機関同士で顧客を奪い合っている状況です。
メインの顧客が他の銀行に抜かれてしまったら銀行の担当者は上司からかなりきつく怒られます。
他行に取られるくらいなら金利を下げてでも顧客を繋ぎ止めたいと銀行は考えているため、他の金融機関から低金利融資の提案があった時は、金利引き下げの交渉がかなり有利に進みます。
他の金融機関から「ウチで借りませんか?」と相談があった場合には、メイン銀行へその旨を相談しましょう。
高い確率で、他の金融機関が提示した金利よりも低い金利で借りることができます。
決算月は金利交渉が成功しやすい時期


銀行の決算月は金利交渉や融資の交渉そのものが成功しやすい月と言われています。
銀行は決算の際に融資量を大きくしたいと考えており、その月がその決算期や年度のノルマを達成するための最後の月になるためです。
半沢直樹でもあったように、銀行員はノルマが絶対です。
ノルマ達成のために金利を下げてでも融資に応じる可能性はいつもの月よりも高くなります。
借り手市場で交渉を進めることができる銀行の決算月を狙って融資交渉をしてみましょう。
銀行がノルマを抱えているから
銀行は「1年間の間に融資量を〇〇兆円まで伸ばす」などの目標を持っています。
この目標達成に向けて、決算月というのは最後の月になります。
決算の月にできる限り業績を向上させたいと考えているため、決算月は融資を受けやすくなります。
民間企業が「決算セール」などと、決算月には売上拡大のためのセールを行うことが多いですが、これと同じ理屈で銀行も決算月は融資が受けやすくなります。
期中のノルマ達成がその月にかかっているから
銀行全体の目標は、支店にノルマとして割り振られ、支店のノルマは銀行員1人1人に割り振られます。
銀行員にとっても与えられたノルマが達成できるかどうかで自分の評価が決まりますし、銀行によっては達成できないことによって上司からかなり酷く怒られることもあります。
銀行員も決算月の期末というのは、ノルマ達成のために必死です。
多少「融資できるかどうか微妙」という融資案件でも、信用保証協会や上司や本部に頼み込んで審査に通してしまうということはよくあることです。
決算月は、銀行員個人の本気度も他の月とは異なるので、融資を受けやすい傾向があります。
「保証協会の保証付融資」から「プロパー融資」へ
すでに信用保証協会の融資を借りている場合や、信用保証協会の保証付融資を提案された場合には、プロパー融資で金利が下がらないかどうかを交渉することで金利が下がるケースがあります。
日銀の「貸出約定平均金利」などから、平均金利と比較して金利が高いのであれば「平均金利まで金利を下げてくれ」と交渉することで金利が下がる可能性はあります。
ただし、基本的にプロパー融資とは、銀行にとって信頼できると判断できる取引歴が長く業績良好な企業に対してのみ行うものです。
主に取引が浅く、信用力も低い中小企業が利用する信用保証協会付融資から難易度の高いプロパー融資に切り替えるということ自体が、よほど業績がよくない限りは難しいでしょう。
まとめ


銀行融資を有利に進めるポイントは以下の5つです。
- 書類をしっかりと揃える
- 知り合いの社長に銀行を紹介してもらう
- 業況が悪化した決算書や試算表が揃う前に申し込む
- 銀行員と個人的な人間関係を強くする
- 銀行員に対して夢や希望をしっかりと語る
基本的には銀行員からの印象をよくして、銀行にとって大切なお客様になることが重要です。
銀行に対して圧力をかけたり、他の金融機関へ浮気をするという行為は審査ではマイナスにしかならないので避けるようにしましょう。
銀行にとって大切なお客様であることが、審査に通過しやすく低金利で融資を受けることのコツだと心得て、日頃から銀行との人間関係の構築に努めるようにしてください。