銀行融資の種類と特長、申し込み時の注意点などを解説

2020-07-03

銀行

企業や個人事業主が事業に必要なお金を借りる方法として代表的なのが銀行融資です。

一口に銀行融資と言っても様々な種類がありますし、用途や必要なタイミングなどによって適切な借入の種類は異なります。

銀行融資にはどのような種類があるのか、詳しく解説していきます。

銀行融資の種類に違いをしっかりと理解して、タイミングが使途に合わせて最適な借入ができるようになりましょう。

銀行融資とは?

銀行融資を考える女性

銀行融資とは、銀行や信用金庫などの金融機関の事業資金融資で、主な特徴として以下の3点をあげることができます。

  1. 銀行や信用金庫からの借入
  2. 金利が低い
  3. 信用保証協会の保証をつけて融資をするのが一般的

銀行融資の概要や特徴についてまずは詳しく解説していきます。

1.銀行や信用金庫からの借入

銀行融資とは、銀行からの借入だけではなく、信用金庫や信用組合などの預金を原資に融資を行う金融機関が該当します。

顧客から預かった預金を原資に中小事業者の事業に必要な資金を融資するのが銀行融資です。

自己資金や借入金を原資に融資を行うビジネスローンとは異なります。

2.金利が低い

銀行融資の特徴は金利が低いという点です。

銀行や信用金庫の中小事業者に対する融資は「融資によって中小事業者の業況を安定・発展させ地域経済の拡大に貢献する」という公共的な使命を負っています。

そのため、個人向けのカードローンやビジネスローンなどのように、必ずしも営利の追求をメインにしているわけではありません。

カードローンやビジネスローンの金利が15%〜18%程度であるのに対して、銀行融資の金利は2%前後となっていることが一般的です。

事業に必要な資金を銀行融資で借りる場合には、非常に低いコストで資金調達を行うことが可能です

3.信用保証協会の保証をつけて融資をするのが一般的

銀行融資では信用保証協会の保証をつけて融資することが一般的です。

信用保証協会は融資金が万が一返済不能になった時に、融資残高の全部または一部を保証してくれるものです。

金融機関とすればもしも返済が滞ったとしても信用保証協会の保証さえついていればリスクはありません。

信用保証協会の保証があることによってリスクを恐れずに積極的に融資を行うことができます。

逆に言えば、信用保証協会の保証さえつけば金融機関にはリスクがないので、ほぼ確実に融資を行います。

そのため、実質的に審査を行なっているのは金融機関ではなく信用保証協会だと揶揄されることもあります。

なお、信用保証協会は地域に1つしかありません。

信用保証協会は1つの企業ごとに「保証限度額〇〇円」などと枠を設けているため、地域の金融機関は1つの信用保証協会の枠を使って融資をしています。

つまり、金融機関は異なったとしても、同じ融資枠の中で借入をしているのが信用保証協会融資です。

例えばA社に対して「1,000万円まで」という保証枠を信用保証協会が設けていた場合、A銀行が400万円保証協会付融資を実行した場合には、残り600万円の枠しかありません。

B信用金庫にA社が申し込んだ場合には、残り600万円の範囲しか信用保証協会付融資を借りることができません。

このように、信用保証協会の保証付融資は異なる金融機関から借りたとしても同じ融資枠の中で借入をしているという特徴があります。

銀行融資は借金とは違う?

借金について悩んでいる女性

銀行融資は銀行などの金融機関からお金を借りることです。

そのため、銀行融資のことを一口で「借金」と言うこともありますが、銀行融資と借金は厳密には異なります。

銀行融資と借金の違いは主に以下のような4点をあげることができます。

  1. 借金は個人向けローン
  2. 借金は使い道自由
  3. 銀行融資は借入によって業績向上を見込む
  4. 借金は無担保であることが多い

銀行融資と借金の違いを解説していきます。

1.借金は個人向けローン

借金は基本的には個人向けのローンを指します。

確かに「会社に借金がある」などの言い方をすることはありますが、借金という言葉は会社の会計上正しい言葉ではありません。

そのため、一般的に借金と言った時には個人向けのカードローンやフリーローンなどの示す言葉だと理解しておいた方がよいでしょう。

2.借金は使い道自由

借金は使い道自由、銀行融資は使い道が限定されているという違いもあります。

借金は使い道自由なカードローンやフリーローンが該当します。

一方、銀行融資は事前に借りたお金の使い道について厳しく銀行からチェックされます。

運転資金であっても企業の決算書から「この規模の企業に適した金額か」ということをチェックされますし、設備資金に関しては全ての見積書を銀行へ提出する必要があります。

事前に銀行が認めた使い道にしか使うことができない銀行融資に対して、何に使っても自由な借金という違いもあります。

3.銀行融資は借入によって業績向上を見込む

銀行融資は、借りたお金を活用して業績を向上させることを目的としています。

企業にとっての血液であるお金を必要な部分に注入することによって企業経営が活性化することを目的としているのが銀行融資です。

一方、借金は「お金を使う」ということを目的としているため、それによって収入が増えるようなことを目的にはしていません。

むしろ返済金の分だけキャッシュフローは厳しくなります。

4.借金は無担保が一般的

借金は無担保で融資されることが一般的で、カードローンやフリーローンが代表的です。

借金は担保や保証ではなく、申込者の個人信用情報や収入などから判定される個人の信用に対して融資を行います。

一方、銀行融資は事業者の信用だけでなく、保有する資産や担保などの価値も加味して審査を行い、時には銀行が担保を要求することもあります。

銀行融資の種類と特徴を説明

パソコンを見せる男

銀行融資には様々な種類がありますが、一般的な事業者が利用するローンの種類としては、以下の5つの種類をあげることができます。

  1. 証書貸付
  2. 手形貸付
  3. 当座貸越
  4. 手形割引
  5. ABL

銀行融資の5つの種類の概要と、使い道について詳しく解説していきます。

1.証書貸付

証書貸付とは、借入期間1年超で原則として毎月返済を行なっていくローンです。

高額の借入を行い、少しずつ分割して返済していく場合に利用されます。

例えば高額な設備資金を借りる場合には、数年から十数年間程度の返済期間を設定して分割で返済していきます。

個人で言えば住宅ローンが証書貸付として代表的なローンです。

数年先まで返済を行なっていくことができるだけの収益やキャッシュフローを持続させることができるかどうかという収支計画や資金繰り計画が審査では重視されます。

2.手形貸付

手形貸付とは、借入期間が1年以内で原則として一括で返済を行うローンです。

建設業者などが工事に必要な運転資金を手形貸付で借りて、工事が完了した時に一括で返済するなど、原則的には運転資金の借入で利用されることが多い借入の方法です。

そのため、審査では「手形の期日までに本当に入金があるのか」という売上の確実性が重視されます。

申し込みの際には取引先との契約書や発注書など「確かに売上があり、その代金が入金になる」ということを証明できるような資料を持っていった方が審査には通過しやすくなります。

短期的な運転資金の調達をする際に利用されるのが手形貸付です。

3.当座貸越

当座貸越とは「事前に〇〇万円まで借りることができる」という借入枠を作成し、いざお金が必要になった時に実質的な審査なしで借りることができる方法です。

個人で言えばカードローンが当座貸越に該当し、事業者向けにも当座貸越枠にカードをつけてATMから借入可能にしている「事業者向けカードローン」などの商品を提供している銀行も存在します。

急にお金が必要になった時でも枠の範囲内であればすぐに借入をすることができるので、万が一の場合に備えて作成しておくと便利です。

「いつでも借りることができる」という、その性質上、審査は厳しく基本的には赤字や債務超過の場合には審査に通過することができないと考えておいた方がよいでしょう。

4.手形割引

手形割引とは、企業が保有している受取手形を担保に銀行から受取手形の額面金額から手数料(利息)を控除した金額を換金(借りる)する方法です。

受取手形は期日になるまで資金化することができませんが、手形割引を利用することによって、期日前でも資金化することが可能です。

手形の期日になると銀行が手形の取り立てを行い、回収に充てるので審査で重視されるのは手形振出企業の与信になります。

そのため証書貸付などの借入ができない企業でも手形割引であれば借りることができる可能性があります。

なお、手形振出企業が倒産などによって手形が回収不能になった場合には、自社が銀行に対して手形金額を支払う必要があるという点には注意が必要です。

5.ABL

ABLとはAsset-based loanの略で、動資産担保融資という意味です。

従来、銀行は不動産を担保とした融資しか行いませんでしたが、ABLは企業が持っている棚卸資産や売掛金などの流動資産を担保に融資を受けることができます。

これまでの銀行融資は「不動産を持っている企業が審査で有利」という現実がありましたが、ABLであれば全ての企業が平等の条件のもと融資を受けることができます。

審査は流動資産の担保価値と企業の返済能力や財務状況に基づいて行われます。

いくら価値のある担保があったとしても赤字や債務超過の場合にはABLを借りることは難しいでしょう。

価値のある流動資産があるとともに、一定程度の健全な経営状態であることが求められます。

銀行融資の申し込みで気をつけること

銀行融資の申し込みをする様子

銀行融資の審査はビジネスローンと比較して圧倒的に厳しくなりますが、以下のポイントを抑えることで審査落ちの可能性を少しでも減らすことができます。

  1. 「いくら借りれる?」は禁物。資金使途は明確に
  2. 債務超過に転落する前に申し込む
  3. 借りたい資金を決め打ちしない

銀行融資の申し込みの際に上記の3点に注意することで、お金を借りることができる可能性は高くなる傾向にあります。

銀行融資に通過するための申し込み時の3つのポイントについて詳しく解説していきます。

1.「いくら借りれる?」は禁物。資金使途は明確に

「自社の決算書ではいくら借りることができるのか?」というのは多くの人が気になるところです。

しかし、「ウチはいくら借りることができる?」という姿勢は禁物です。

銀行は当該企業にとって必要な金額しか融資はしないので、例え10億円貸すことができる企業だとしてもその企業が1,000万円しか使い道がないのであれば1,000万円までしか融資を行いません。

いくら借りることができのか?ではなく、「この使い道にいくら貸してほしい」というスタンスで申し込みを行いましょう。

2.債務超過に転落する前に申し込む

債務超過に転落する前に融資に申し込んだ方がよいでしょう。

企業経営を続けていけばリーマンショックや新型コロナウイルスなどの影響によって会社が赤字になってしまうことはあるでしょう。

しかし、債務超過になっていなければ、赤字を自社の体力の範囲内で賄うことができたということです。

赤字によって債務超過になってしまった場合には、その企業は融資によって食いつないでいるだけということであり、銀行にとって赤字と債務超過が並行している企業は極めて危険な企業です。

「赤字だけ」「債務超過だけ」であればお金を借りることができる可能性があるので、企業経営が危うくなった時には債務超過に転落する前に融資に申し込んでおいた方がよいでしょう。

3.借りたい資金を決め打ちしない

銀行融資には制度資金をはじめとして様々な融資制度があります。

しかし、申し込みの際に「この商品を借りたい」と決め打ちをしない方が審査には通過しやすくなる傾向があります。

業歴、決算状況、資金使途、借入希望額、返済期間などによって最適な融資商品は異なります。

銀行は企業の個別の状況に応じて、最も借りやすくその企業に適している商品を選定してくれるので、あまり商品を決め打ちして「この商品を借りたい」と言ってしまうと銀行とすれば審査をしにくくなってしまいます。

銀行に相談に行く時は決算書を持参して「この目的のためにいくら借りたい」というシンプルな相談を持ちかけた方がよいでしょう。

まとめ

白い机

銀行や信用金庫などの金融機関からの借入である銀行融資は金利が低く信用保証協会の保証をつけて融資を行うが一般的です。

  • 証書貸付
  • 手形貸付
  • 手形割引
  • 当座貸越
  • ABL

などの様々な融資の種類がありますが、どのローンがどの企業にあっているかはケースバイケースです。

まずは「〇〇の目的のためにいくら借りたい」ということを、決算書を持参して銀行へ相談しましょう。

銀行が最適な商品を勧めてくれるので、その商品が自社に合っているか確認できるように、それぞれの融資の種類の違いについてあらかじめ理解しておきましょう。