法人が無担保ローンを借りる3つの方法とは!?審査のポイントを徹底解説します!!

「担保がないとお金を借りられない」漠然とそう考えている人も多いのではないでしょうか?
確かに、バブル崩壊前後くらいまでは担保があった方が審査で有利になるという時代がありました。
しかし、今はそのような時代ではありません。
法人の事業資金も担保なしで融資を受けることは可能ですし、むしろ無担保ローンの方が主流になりつつあります。
無担保で借りることができるケースや金融機関の種類、無担保ローンの審査に通過するためのポイントなどについて詳しく解説していきます。
借入の種類によって担保の要不要が異なる


法人の借入が無担保で行けるのか、有担保になるのかというのは、借入金の資金の性質によって異なります。
法人の借入金は用途に応じて以下の2種類に分類されます。
- 運転資金
- 設備資金
基本的には運転資金か設備資金かによって担保の有無は異なります。
なぜ、資金によって担保の有無が変わるのか詳しく解説していきます。
①運転資金は無担保借入が可能
運転資金は無担保での借入が可能です。
決算書や資金繰り表や事業計画書などから、「返済には問題ないだろう」と判断されれば無担保でスムーズに借入ができます。
運転資金は企業の支払いのために必要な資金ですので、スピーディーな融資が求められるものです。
担保を設定するのには、担保を評価して、抵当権を設定する必要があるので時間とお金と手間がかかります。
運転資金にこのような手間をかける必要はないので、運転資金の借入は担保を取るようなことは基本的に行いません。
資金繰りの範囲内で返済することができる金額の融資しか実行しないので、運転資金は基本的に無担保で借りることが可能です。
②設備資金は担保が必要になる
設備資金を借りる時には担保が必要になります。
設備資金とは、建物や土地や機械設備などを購入するために必要な資金のことです。
設備資金が担保の提供を求める理由は「返済されなかった場合の対価」ではありません。
設備資金の借入によって購入した設備を、ローンの返済中に売却することがないようにするためです。
例えば「銀行から設備資金を借り入れて購入した工場を借入残高が残っているにも関わらず売却して、経営者がお金を持って逃げてしまう」という状況になると、銀行が借入金の返済を受けることはまず不可能になります。
抵当権が設定された不動産は、抵当権者の同意なしに売却することができません。
経営者が勝手に売却することができないので、返済に励むことが期待され、万が一の時は抵当権を行使して当該物件を処分して回収に充てることもできます。
このように設備資金の融資においては、債権者が債権を守るために担保の提供が求められることが一般的です。
担保を不要とする融資


担保を不要とする融資は、運転資金であることのほかに以下の3つの融資です。
- 日本政策金融公庫
- 信用保証協会保証付融資
- ビジネスローン
これ以外の融資である不動産担保ローンや金融機関のプロパー融資は運転資金融資であっても担保を求められることがあります。
無担保で借りることができる3つの金融機関について詳しく解説していきます。
①日本政策金融公庫
日本政策金融公庫は国が出資している金融機関です。
無担保・無保証で融資を行っている金融機関で、新規開業資金・事業承継資金・セーフティネット貸付など、様々な資金を無担保・無保証で借りることができます。
日本政策金融公庫は信用保証協会の保証を付けずに融資を行なうので、銀行や信用金庫とは完全に別枠で融資を受けることが可能です。
そのため、銀行や信用金庫で融資を断られた場合も無担保で必要な運転資金を借りることができる可能性があります。
相談は電話やインターネット経由でも可能ですので、気軽に相談してみましょう。
②信用保証協会の保証付融資
信用保証協会の保証付融資も、基本的には無担保で運転資金の融資を実行しています。
信用保証協会とは、行政が出資している保証機関で銀行や信用金庫などの民間金融機関の事業資金融資を保証する公的機関です。
信用保証協会の保証を付けた融資は、万が一返済が滞っても保証協会が銀行へ融資残高を保証します。
銀行にとっては信用保証協会の保証さえ付けばリスクはないので、担保など付けずとも回収には懸念ありません。
また、信用保証協会も審査によってリスクを判定してリスクに応じた保証料を徴収するのが仕事です。
このようにして、担保を設定せずとも銀行と保証協会がWin Winの関係になるよう設計されているので、信用保証協会の保証付融資は無担保で借り入れることができます。
③ビジネスローン
ノンバンクが提供するビジネスローンも無担保で借りることができます。
ビジネスローンは15%〜18%程度の高金利が設定されており、その分高いリスクを取ることが可能な融資商品です。
そのため無担保で融資を実行したとしても、リスクに見合うだけの金利を設定しているので、ノンバンクに損失が生じないように設計されています。
例えば金利が15%で100社へ100万円ずつ融資した場合、ノンバンクには1年間で1,500万円の利息収入があります。
このうち、10社が貸し倒れた場合、損失は1,000万円。差し引きで500万円の利益が残ります。
つまり、10%以下の確率で貸し倒れると判断できる企業に対してのみ融資を実行することによって、予想貸倒率の範囲内の貸し倒れであれば、多少は貸し倒れてもノンバンクは利益を確保することができます。
ノンバンクのビジネスローンは「一定の範囲内なら貸し倒れても問題ない」という前提のもとに融資を行なう設計になっているので、担保を取って債権を保全する(万が一貸し倒れてもいいように保険をかけるイメージ)ようなことは行いません。
また、多くのノンバンクが銀行融資との差別化を図るために即日融資を実行しています。
担保を取っていたら融資までに時間がかかってしまうという点もノンバンクが担保を取らない理由の1つでしょう。
法人が無担保ローンを借りるための6つの審査ポイント


法人が無担保ローンを借りたいのであれば以下の6つの審査に関わるポイントを抑えておきましょう。
- 収益力
- 財務内容の安全性
- 成長性
- 資金の必要性
- 保全ができるかどうか
- 回収可能かどうか
無担保でもより確実に資金を借りることができる6つのポイントを詳しく見ていきましょう。
①収益力
無担保ローンを利用するためには企業の収益力が非常に重要です。
収益力には2つの観点があります。
1つが損益計算書の収益です。
企業が「いくら儲かったのか」を示す、損益計算書で赤字が出ている場合には融資を受けることが難しくなります。
特に、本業での儲けを示す営業収益が赤字の場合には融資を受けることはまず不可能です。
金融機関は収益性のある事業に対して融資をするからこそ儲けになりますが、本業で儲かっていない事業に融資をした場合には返済が危ぶまれてしまいます。
一過性の赤字であれば問題ありませんが、営業赤字が連続している場合などは「融資しても事業の継続が難しい」と判断される可能性が高いので、審査通過は難しいでしょう。
また、資金繰りも非常に重要です。
融資の返済金を支払うことができるだけの資金がなければお金を借りることはできません。
例えば、毎月の返済金が10万円であれば、10万円の返済を行ったとしても、資金がマイナスにならない資金繰り表であることは最低限の条件です。
損益計算書の収益がプラスであるとももに、資金繰り表で問題なく返済できるだけの収益力と資金繰りが求められます。
②財務内容の安全性
財務内容が健全かどうかも無担保ローンを借りるためには重要です。
財務内容が健全でなければ、融資をすることによって財務内容がさらに悪化して倒産に至ってしまう可能性があるためです。
具体的には資産よりも負債の金額の方が多くなり、資本の欄がマイナスになっている債務超過の企業は審査に通過することが難しくなります。
債務超過の企業に重ねて融資をした場合には、負債が膨らんでしまい、さらに債務超過が大きくなってしまいます。
債務超過の企業は収益が改善して債務超過が解消される見込みが立たない限りは、融資をすることによってさらに債務超過の状態が悪化してしまうので、融資を受けることは難しくなってしまうでしょう。
少なくとも赤字と債務超過が重なっている企業は銀行にとって極めてリスクが高い企業ですので審査に通過することは難しくなります。
③成長性
金融機関は融資を通じて企業が成長し、地域経済が活性化し、雇用を創出することをミッションとしています。
そのため、融資を行う企業が成長できるかどうかという点も審査では非常に重視されます。
事業計画書などから、当該企業が成長することができるかという点が審査され、競合他社との差別化や経営戦略が評価され「成長が見込める」と判断されれば、無担保であっても希望額通りの融資を受けることができる可能性は十分にあります。
逆に成長性がないと判断されてしまうと、金融機関にとっても担保なしで長期間の融資を行うことは危険性が伴うので審査に通過することは難しいでしょう。
金融機関が納得でき、長期的に成長性のある事業計画書を作成することは無担保ローンの審査において非常に重要です。
④資金の必要性
事業資金の審査では、借りたお金の使い道である資金使途も重要な要素になります。
事業資金融資においては申込企業にとって必要もない資金を融資するようなことはありません。
そのため、なぜその資金が必要で、金額的に妥当かどうかということが確認され、銀行側が「必要だ」と判断できる必要性が求められます。
例えば運転資金の融資を受けるために、1年分の運転資金をはるかに超えるような金額を借りることはまず不可能です。
当該資金が企業にとって必要な資金かどうかは事業資金融資において非常に重要な要素となるでしょう。
⑤保全ができているか
「保全」とは、万が一の時に、「お金を回収できるかどうか」の保証のようなものです。
銀行は基本的に保全が図れていない融資案件を融資することはほとんどありません。
事業資金融資における保全とは保証会社や保証協会による保証か、担保です。
保証協会による保証があれば、万が一の場合にも保証協会が融資残高を保証してくれるので銀行にリスクはありません。
このような保全が図れているからこそ、銀行は安心して融資を実行することが可能です。
何も保証がついていないプロパー融資を無担保で借りることが難しいのは保全が図ることができないためです。
提供する担保がないのであればプロパー融資を受けることが難しいため、まずは保全の図れている信用保証協会の保証付融資の利用を検討してみるとよいでしょう。
⑥回収可能かどうか
融資金が万が一の場合に回収することができるかどうかというのも、無担保ローンにおいては重要です。
万が一の場合にも回収に充てることができるだけの資産があるのであれば審査に通過しやすくなりますし、何も資産がない場合には審査に通過することが難しくなります。
また、連帯保証人になる経営者個人の財産状況も重要で、万が一の場合経営者の個人資産を差し押さえることで回収ができれば審査に通過しやすくなりますし、経営者個人に資産がないのであれば回収することが困難になるので審査に不利になります。
保全が図れていない無担保融資においては、会社や代表者個人の資産から回収することができるかどうかが非常に重要な要素です。
まとめ


法人の無担保ローンは運転資金において利用することができ、設備資金で無担保ローンを希望することは現実的ではありません。
無担保ローンを借りることができる金融機関は以下の3つです。
- 日本政策金融公庫
- 信用保証協会保証付融資
- ビジネスローン
無担保ローンは銀行にとってリスクが高いので、審査に通過するためには以下のようなポイントを抑えておいた方がよいでしょう。
- 収益力
- 財務内容の安全性
- 成長性
- 資金の必要性
- 保全ができるかどうか
- 回収可能かどうか
無担保ローンは資産がない法人でもスピーディーに必要資金を借りることができる商品です。
いざお金が必要な時には重宝しますので審査通過のポイントはしっかりと抑えておきましょう。