ファクタリングの歴史〜起源から将来の展望を解説〜

ファクタリングの古文書

ファクタリングの起源から、日本でファクタリングが広まる過程、そして将来的なファクタリング業界の展望を歴史を紐解き解説します。

ファクタリングの起源

古代の遺跡

ファクタリングの起源は、古くは古代メソポタミア時代まで遡ると言われています。

紀元前1772年のメソポタミアでは、交易業者がビジネス取引においてファクターの役割を担っていたとようです。

当時は貨幣というものが存在せず、代わりに利用されていたのは穀物や銀などです。

その後、バビロニア時代になると金融取引を行う銀行の起源に当たる業者も登場し、ファクターは為替手形や小切手などの金融サービスも行っていました。

14~16世紀にイギリスで発展

ファクタリングはそこから、14〜15世紀のイギリスで現代の請求書買取という形になります。

当時のイギリスでは、売掛債権の買取を行い事業者に資金を譲渡するファクターが存在していました。

また輸出入者の間を取り持つ交易業者も、輸出品の請求書を用いて資金を貸し付けることを行っていたと言われます(現在で言うところの売掛債権担保融資)。

さらにそこから、16世紀に入るとアメリカ大陸の原住民との交易を目的としたイギリスの商人らが、交易業者や医療商人に対して売掛金を売却していたことが記録されています。

つまり14~16世紀になり、ファクタリングは支払いの保証制度〜融資のための担保として活発に活用されていたのです。 

20世紀のアメリカで現代ファクタリングの原型が誕生

さらにそこから時を経て、20世期のアメリカにおいて世界大恐慌の影響で多くの事業者が資金繰りに喘ぎ、また銀行の力も低下したため信用を元にした貸付ができなくなるという自体が勃発します。

そこで信用情報に頼らない新たな資金調達法として活躍をしたのが、ファクタリングです。

売掛金・請求書を現金化するというファクタリングは、信用取引に頼る割合が少ないため多くの事業者に注目をされることになります。

ファクタリングにより資金繰りが容易になったこともあり、そこからアメリカは現在まで続く経済成長を遂げるのです。

支払い保証や融資の担保では無く、純粋に売掛金を利用した資金調達方法としてファクタリングが活用されたのはこの時のアメリカが最初と言われています。

そのためファクタリングの起源は20世期のアメリカだという方も、少なくはありません。

そこからファクタリングは主に欧米圏で広まっていき、今ではアメリカの事業者は資金調達の60%前後をファクタリングにより得ています。

一方の日本ではまだまだファクタリングの知名度は低く、10%程度しかファクタリングは利用されていません。

それでは続いて日本におけるファクタリングの浸透、そして将来的な展望を見ていきましょう。

日本におけるファクタリング

東京の街並み

20世期のアメリカで勃興したファクタリングが、日本の商取引にも用いられ始めたのは1970年頃と言われています。

70年代の日本では都市銀行系子会社(第一勧業銀行)などが金融・経済の中心でした。

ただ当時の日本は売掛金=手形であり、手形割引が一般的な資金調達手段であったため、ファクタリングが広く利用されることはありませんでした。

手形取引とファクタリングがそもそも類似サービスであり、また入金前の売掛金を現金化するという感覚が当時では受け入れられなかったのが日本でファクタリングが広まらなかった理由と考えられます。

ファクタリングの知名度が上昇!日本でもファクタリングが活用され始めた理由

そんな中、1991年にバブルが崩壊し従来の手形取引は徐々に衰退していきます。

事実、手形の取引高は1990年には4797兆円だったのをピークとし、2017年には約374兆円と10分の1以下にまで減少しています。

手形取引がこれほどまでに減少した理由としては、換金の際に手数料がかかるという点や割引の際には審査があり貸付に該当する、流動性が低く裏書がしづらいなどのデメリットが考えられます。

手形取引の衰退と入れ替わるように、隆盛していったのがファクタリングです。

ファクタリングが隆盛を見せたきっかけとしては、1998年に債権譲渡特例法が施行、2005年の債権譲渡登記制度が改正されたことが1番の要因です。

債権譲渡登記制度が改正されたことにより、債権の二重譲渡トラブルを防止することが可能となり、より円滑に売掛金を譲渡することができるようになったのです。

2社間ファクタリングの誕生

ファクタリングが発展する大きな要因となった、債権譲渡登記制度についてより詳しく解説します。

簡単に言えば債権譲渡登記制度が施行されたことにより、2社間ファクタリングが誕生することになったのです。

それまでのファクタリングでは、取引先に債権譲渡承諾を得てからファクタリングを行う3社間取引が一般的でした。

それが債権譲渡登記を行えば、取引先に債権譲渡承諾通知を不要とする登記制度ができたおかげで、債権の所有権をより明確にすることができます。

3社間取引は売掛金の未回収を防ぐことができ、また手数料が安いというメリットがあるのですが、

・取引先に債権譲渡通知を送るため、時間がかかる

・取引先から債権譲渡承諾を得られない場合がある

などのデメリットもありました。

一方で2社間ファクタリングでは、取引先から債権譲渡承諾を得る必要が無いため

・よりスピーディーに資金調達ができる

・取引先からの信用を失う心配がない

といった利点があります。

特に取引先同士の信用が重要視される日本においては、3社間ファクタリングは活用しづらい側面があったのですが2社間取引が誕生したことでより利便性が高まったのです。

悪徳会社の逮捕

債権譲渡登記制度が施行されたことでファクタリングの活用が爆発的に見込まれましたが、一方で日本のファクタリング業界には負の側面も生まれてしまいます。

それが悪徳会社の存在です。

ファクタリングは貸付では無く、利息制限法が適用されないということに着目をしたヤミ金業者などがファクタリング業に参入し、利用者から高い手数料を取るなどの悪質な運営を行います。

その結果、2010年代にはファクタリングを装ったヤミ金業者の逮捕事例が相継ぎました。

売り掛け債権の買い取りを装い、高利で金を貸すヤミ金を営んでいたとして、千葉県警と岩手県警の合同捜査本部が25日、東京都内のコンサルティング会社社長の男ら11人を貸金業法違反(無登録営業)と出資法違反(超高金利)の疑いで逮捕したことが、捜査関係者への取材でわかった。

売り掛け債権の買い取りは「ファクタリング」と呼ばれ、債権を早く現金化したい企業が利用している。男らはこの仕組みを装いながら、実際は債権を買い取らずに担保にして金を融資。手数料名目で高い利息を受け取っていたという。

朝日新聞デジタル「債権の買い取り装いヤミ金営業容疑 社長ら11人逮捕へ」

債権を買い取って回収を代行するサービス「ファクタリング」を装ったヤミ金融が横行し、警察当局が取り締まりを強めている。

大阪府警は今年、回収業務と称して高金利での貸し付けを繰り返したとされるグループのメンバーを逮捕。摘発の動きは各地に広がりつつある。手形割引に変わる資金繰りの手段として利用する企業が増えるなか、サービスへの法規制を求める声も上がる。

新手のヤミ金業者が暗躍する現状について、日本ファクタリング業協会(東京・中央)は「ファクタリングは企業の資金繰りに不可欠な存在になっている。一部の悪質な業者によって、円滑な経済活動が阻害されかねない」と懸念する。

営業登録や金利などで法律の網がかかる貸金業と異なり、ファクタリングに対する規制のない現状を問題視する意見もある。ヤミ金融に詳しい前田勝範司法書士は「ファクタリング業に登録制を導入して実態を把握しやすくするなど、ヤミ金業者を排除できる仕組み作りが必要だ」と強調している。

日経新聞「ファクタリング、ヤミ金が装う 違法貸付大阪などで摘発」

彼ら悪徳業者が横行してしまったため、現在に日本では「ファクタリング=ヤミ金」という見方を持つ方も少なくありません。

この点が、現在の日本でファクタリングが広まる阻害点となってしまっています。

ファクタリングの将来〜今後の展望〜

ファクタリングの古文書

ファクタリング=ヤミ金というイメージが定着してしまった様相はありますが、それでもファクタリング利用者は年々増加しています。

借りない新しい資金達調と言われるファクタリングは、銀行融資が受けられない中小企業の事業者にとって希望の光です。

また2020年の4月に民法が改正され将来債権の譲渡が可能になったことで、さらにファクタリングの活用が見込まれます。

直近では新生銀行が民間大手ファクタリング会社のOLTAと共同で新たなファクタリングサービスをリリースしたりと、大手金融機関の本格的なファクタリング業界への参入も予想されます。

結論としてファクタリングは今後の日本において、重要な資金調達手段を担う可能性があると言えるでしょう。