日本政策金融公庫とファクタリング|2つの資金調達法を徹底比較

本記事では日本政策金融公庫とは何か、特徴などを詳しく解説して参ります。
それを踏まえた上で、近年注目を集めているファクタリングと日本政策金融公庫のメリット・デメリットを比較していきます。
ファクタリングと日本政策金融公庫、どちらを利用すべきか迷った際にはご参考にしてください。
日本政策金融公庫とは


日本政策金融公庫とは、財務省が管轄しており、100%政府が出資している国の金融機関です。
主な役割は、中小企業の資金調達支援、信用保険制度といったものが挙げられ、
●小口の事業資金融資
●創業支援・地域活性化支援
●イノベーション支援
といった、個人事業主・中小企業といった民間金融機関の融資を受けづらい事業者への融資サービスを提供しているのが特徴です。
日本政策金融公庫のメリット
日本政策金融公庫の融資を利用するメリットとしては、以下の5点が挙げられます。
①低金利で借入可能
②信用が低くても審査に通る
③担保・保証人が不要な融資もある
④信用がつく
⑤返済期間が長い
順番に詳しく解説していきましょう。
①低金利で借入可能
日本政策金融公庫はビジネスローンや銀行融資に比べて、圧倒的に金利が低いという特徴があります。
銀行融資やビジネスローンでは、低金利を謳っていても10%以上の金利がかかります。
一方で日本政策金融公庫の金利水準は1~2%で、その差は歴然です。
また女性、若者、シニアなど属性支援も豊富で、さらに金利などの借入条件が優遇されることもあります。
金利という側面から選ぶなら、日本政策金融公庫は最も借入がオススメな金融機関です。
②信用が低くても審査に通る
日本政策金融公庫は国が出資する金融機関で、利潤目的で運営している民間の金融機関とは異なります。
基本理念に
「社会のニーズに対応して、種々の手法により、政策金融を機動的に実施する」
とある通り、事業目的はあくまで雇用創出・就業支援・地域活性化などで、事業者の信用情報や決算状況によって融資の可否を決定しているわけではありません。
そのため業歴が浅かったり、信用が低い場合でも、国・地域に貢献する事業と判断されれば、審査に通る事が期待できます。
再建・再起業への挑戦にも融資を行なっており、中小企業〜個人事業主の方にとって日本政策金融公庫は確かな存在と言えます。
③担保・保証人が不要な融資もある
日本政策金融公庫が行なっている融資の中には、担保・保証人が不要な融資もあります。
例えば、小規模事業者経営改善資金(通称;マル経融資)は、商工会議所会頭、商工会会長の推薦があれば、無保証人・無担保で利用する事ができます。
また企業家を支援する融資である、「新創業融資制度」(税務申告2期以下などの条件あり)も無担保・無保証人で借入が可能です。
④信用がつく
日本政策金融公庫は、国や地域への貢献性や成長性なども重視して、貸付を行っています。
そのため日本政策金融公庫から借入ができると、金融機関からの信用がつき、ある種のステータスを得る事ができます。
「日本政策金融公庫から借入実績があるから、事業内容に成長が期待できる」
といったように判断され、民間金融機関からの借入を行う際に、審査にプラスに働くと考えられます。
⑤返済期間が長い
日本政策金融公庫の借入期間は、5~10年の返済期間が設定されています。
設備資金の融資の場合は、10年〜20年という長いスパンで借入をする事も可能です。
民間の金融機関に比べて圧倒的に借入期間が長く、(民間金融機関の場合は長くても数年程度)返済負担は重くありません。
またリスケにも対応しており、減額申請や返済期間の延長も可能です。
日本政策金融公庫のデメリット
続いて日本政策金融公庫の融資を利用するデメリットについても解説して参ります。
①必要書類が多い
②融資決定までに時間がかかる
③保証人が必要な融資もある
それでは順番に詳しく解説して参ります。
①必要書類が多い
日本政策金融公庫では、決算状況や信用で融資の可否を判断されることはありませんが、代わりに事業内容の貢献性・成長性などが重視されます。
そのため日本政策金融公庫の融資をご利用の際には、綿密な事業計画書など多くの書類の提出が求められます。
②融資決定までに時間がかかる
上述の通り日本政策金融公庫の融資を利用の際には、多くの必要書類を用意する必要があります。
加えて担当者との面談も行われ、融資可否の審査結果が出ます。
そのため日本政策金融公庫は融資決定までに多くの時間がかかり、3週間から1ヶ月程度、時間を要することも考えられます。
残念ながら、急場の資金調達に追われている際に、日本政策金融公庫のご利用は得策ではありません。
③保証人が必要な融資もある
日本政策金融公庫には「小規模事業者経営改善資金」や「新創業融資制度」といった無担保・無保証の融資もありますが、一方で保証人が求められる融資もあります。
創業2年以内が主な利用条件である新創業融資制度はともかく、小規模事業者経営改善資金は商工会会長からの推薦が必要で、誰でも利用できるわけではありません。
利用する融資の内容によっては保証人が必要となるという点は、重々理解しておく必要があります。
ファクタリングとは?


ファクタリングは、「借りない資金調達法」とも呼ばれ、近年多くの注目を集めています。
具体的には、企業が有する期日前の売掛金をファクタリング会社に売却することで、経営に必要な資金を調達するという資金繰り方法です。
ファクタリングに関する詳しい説明は、以下の記事をご参考にしてください。
ファクタリングのメリット(日本政策金融公庫と比較)
日本政策金融公庫と比較するとファクタリングのメリットとしては、以下の点が挙げられます。
◉審査が簡易的
◉利用しても信用情報に記録される事がない
◉担保や保証人が不要
◉最短即日で資金調達をする事ができ、スピードに優れている
ファクタリングは保有している資産の売却で、融資とは異なる性質を有します。
したがってファクタリングには返済義務がありません。
そのため審査時に返済能力は重視されず、担保や保証人が不要という利点があります。
特に調達スピードは最短即日で、急なキャッシュフロー悪化時にも対応する事が可能です。
ファクタリングのデメリット(日本政策金融公庫と比較)
一方でファクタリングには以下のようなデメリットもあります。
◉法律が未整備(信用が低いファクタリング会社も存在する)
◉手数料(金利が高い)
◉利用する事が周囲に発覚すると、信用を失う
ファクタリングは主に、銀行融資の審査落ちとなってしまった事業者が利用する資金調達法です。
そのため利用している事が取引先などに知られてしまうと、資金繰りの悪化を勘繰られてしまいます。
またファクタリングは比較的最近になって登場した金融サービスで、法律が未整備な部分も多くあります。
利息制限法が適用されないため、日本政策金融公庫に比べると遥かに手数料が高いという点にも注意しなければいけません。
ファクタリングと日本政策金融公庫、それぞれの利用ケース
最後にファクタリングと日本政策金融公庫、それぞれどのようなケース、資金ニーズで利用すべきなのかをご紹介して参ります。
●創業間もない・創業前の開業資金
●民間の金融機関の融資審査に落ちた
●信用をつけたい
●低金利で借入をしたい
一方でファクタリングを利用すべきケースは以下の通りです。
○数日以内に資金調達が必要
○日本政策金融公庫が利用できなかった
○保証人が用意できない
ファクタリングと日本政策金融公庫、どちらも優れた資金調達法ですので、ご自身の経営や資金繰り状況に応じて、どちらを利用すべきか決めるようにしてください。
まとめ


日本政策金融公庫は国が出資する金融機関で、低金利の融資が特徴です。
中小企業支援が目的で、信用情報が低くても融資を受けられるため、利用できるのであれば真っ先に検討したい借入先と言えます。
一方のファクタリングは、「金融機関に頼らない新たな資金調達方法」と呼ばれており、融資とは異なる資金調達方法です。
審査が不要で調達スピードに優れているのが特徴で、日本政策金融公庫が利用できなかった場合や急な資金繰りに迫られている際にはご利用が効果的です。
ファクタリングと日本政策金融公庫の利用に迷うケースは多くはありませんが、それでも利用できるのであれば日本政策金融公庫をまずは優先的に検討しましょう。
なおファクタリング会社も日本政策金融公庫も、どちらも資金繰りや経営に関する相談を受け付けています。
キャッシュフロー改善のために、どちらも最大限に活用しましょう。