2社間ファクタリングとは?仕組みから利用の流れ、メリット・デメリットを分かりやすく解説

2社間ファクタリングは売掛先に知られることなく、利用者とファクタリング会社のみで行うファクタリング契約のことです。
本記事では
◉2社間ファクタリングの仕組みから流れ
◉2社間ファクタリングを利用するメリット
◉2社間ファクタリングを利用する際の注意点・デメリット
を詳しく解説して参ります。
2社間ファクタリングとは?


2社間ファクタリングとは、
①自社(ファクタリングを利用する企業)
②ファクタリング会社
の2社間で債権譲渡契約を交わすファクタリングの方式です。
以前のファクタリングは上記の2社に取引先を加えた3社間取引が普通でした。
それが1998年に「債権譲渡登記制度」が成立し、取引先に債権譲渡承諾を得なくても、登記を行うことで債権譲渡が可能となったことで、2社間ファクタリングが大きく普及することになったのです。
2社間ファクタリングの仕組み・流れ
上図をご覧の通り、2社間ファクタリングは利用企業とファクタリング会社の間のみで売掛債権の売買を行います。
売掛先への債権譲渡通知は不要ですので、売掛先はファクタリング会社の存在を知ることはありません。
2社間ファクタリングの実際の流れは、以下の通りです。
⑴ファクタリング会社に申し込み
⑵書類提出〜審査
⑶ファクタリング会社に債権譲渡
(債権譲渡登記を行う)
⑷ファクタリング会社から売掛債権の買取代金が支払われる
⑸後日、売掛先から売掛金が支払われたらファクタリング会社に支払いを行う
現在ではファクタリング利用者の半数以上が3社間取引よりも2社間取引を選択しています。
その理由を探るために、次に2社間ファクタリングと3社間ファクタリングの違いを簡単に解説して参ります。
2社間ファクタリングと3社間ファクタリングの違いは?
2社間ファクタリングと3社間ファクタリングの最大の違いは、
「取引先」から債権譲渡通知をする必要がなく、譲渡承諾も不要
という点です。
そのため2社間ファクタリングを利用すれば、取引先に資金繰りの悪化を悟られることなく資金調達をすることができます。
また2社間ファクタリングと3社間ファクタリングには、ファクタリング会社への支払い方法にも違いがあります。
3社間ファクタリングでは、取引先がファクタリング会社に売掛金を支払います。
一方の2社間ファクタリングでは、取引先から自社に売掛金が入金された後、1週間~15日以内にファクタリング会社に支払いを行います。
2社間ファクタリングと3社間ファクタリングの違いやメリット・デメリットの比較については別記事で詳しく解説しておりますので、ご参考にしてください。
2社間ファクタリングの利点・メリットとは?


2社間ファクタリングの仕組みや3社間取引との違いについて理解していただいたところで、次に2社間ファクタリングの利点やメリットを解説していきましょう。
◉売掛先にファクタリングの事実を知られない
◉調達スピードが速い
◉償還請求権がない
順番に詳しく解説していきましょう。
①売掛先にファクタリングの事実を知られない
近年、知名度が高まっているとは言え、ファクタリングの利用を売掛先に知られることは危険を伴います。
ファクタリングは資金調達法の中では、優先順位が低く、闇金業者なども存在しています。
そのためファクタリングの利用を売掛先に知られてしまうと、
「あそこの会社はファクタリングを利用せざるを得ないほど、資金繰りに窮している」
「あそこはもうすぐ倒産するかもしれないし、取引は辞めようか…」
と思われてしまいます。
また売掛先によっては、債権譲渡承諾をすることを拒否してくることも十分に考えられます。
それでも2社間ファクタリングならば、売掛先にファクタリングの事実を知られずに資金調達をすることが可能です。
売掛先と良好な関係を築いたまま、ファクタリングをすることができます。
②調達スピードが速い
前述の通り、2社間ファクタリングでは売掛先に債権譲渡通知をする必要がなく、譲渡承諾を得る必要がありません。
利用企業とファクタリング会社の2社間のみで契約が完結するため、時間が掛からず、最短即日で資金調達をすることも可能です。
調達金額が速いというのは、2社間ファクタリングが人気の理由の1つでもあります。
③償還請求権がない
2社間ファクタリングでは、売掛先から売掛金が入金された後に、ファクタリング会社に支払いを行います。
ただ売掛先から売掛金が滞りなく入金されるとは限らず、売掛先の倒産などによって売掛金がきちんと支払われない可能性があります。
ですが、2社間ファクタリングでは償還請求権がないため、売掛先が倒産などして債権が未回収になったとしてもファクタリング会社に支払いを行う必要はありません。
このことは償還請求権がない、ノンリコース契約と呼ばれます。
2社間ファクタリングのデメリット・注意点とは?


一方で2社間ファクタリングを利用する際には、知っておかなければならないデメリットや注意点も存在します。
◉手数料は3社間ファクタリングよりも高め
◉銀行系ファクタリング会社は取扱をしていない
◉支払いができないと横領罪になる
◉審査では人柄も重視される
◉ファクタリング会社によっては個人事業主の利用を不可としている
順番に解説していきましょう。
①手数料は3社間ファクタリングよりも高め
3社間ファクタリングの場合、売掛先が直接、ファクタリング会社に支払いをするため、債権が未回収になる可能性は低いと言えます。
一方の2社間ファクタリングは、ファクタリング利用企業が売掛金を使い込んでしまったり、自動引き落としなどで売掛金が無くなってしまう可能性が考えられます。
ファクタリング会社からすると債権の未回収リスクが高いため、2社間ファクタリングの手数料は3社間ファクタリングよりも高く設定されています。
高額なファクタリングの手数料の分、資金繰りは逼迫されてしまいますので、ご注意ください。
②銀行系ファクタリング会社は取扱をしていない
上述の通り、2社間ファクタリングは債権が未回収となる可能性が高くなります。
そのためみずほファクターや三菱UFJファクターといった、銀行系ファクタリング会社は2社間ファクタリングの取扱をしていません。
2社間ファクタリングを利用する場合は、必然的に民間系ファクタリング会社を利用することになります。
民間系ファクタリング会社は銀行系ファクタリング会社に比べると、手数料が高く信頼性には劣ります。
③支払いができないと横領罪になる
2社間ファクタリングでは、売掛先から入金された売掛債権を、ファクタリング会社に支払う必要があります。
しかしながらファクタリング会社に支払うべき売掛金を別の支払いに充ててしまったり、自動引き落としなどでファクタリング会社への支払いができない、というケースは多々あります。
債権譲渡契約を結んだ時点で、売掛債権の所有権はファクタリング会社が有しています。
その債権を別の支払いに充ててしまったとなると、「横領罪」や「詐欺罪」に該当する可能性があります。
支払いに遅れてしまうとファクタリング会社から「内容証明書」が送付されたり、取引先に債権譲渡通知を送付されてしまいます。
2社間ファクタリングをご利用の際には、くれぐれもファクタリング会社への支払い日に気をつけましょう。
④審査では人柄も重視される
2社間ファクタリングでは、事業者がファクタリング会社に支払うべき売掛金を使い込んでしまうというケースがあります。
そのため2社間ファクタリングの審査時には、
「売掛金をきちんと支払うか?」
「売掛債権の使い込み(=横領)をしないか?」
といったことをチェックするために、事業者の人柄や信頼性もチェックされます。
また人柄を審査するために、「2社間ファクタリングの契約の際には要面談」としているファクタリング会社も少なくありません。
⑤ファクタリング会社によっては個人事業主の利用を不可としている
2社間ファクタリングでは、債権の二重譲渡を防ぎ第三者対抗要件を取得するために「債権譲渡登記」が行われます。
しかしながら債権譲渡登記は、法人のみしか行うことができず、個人事業主の方は登記をすることはできません。
債権譲渡登記が不可能ですと二重譲渡を防ぐことができないため、ファクタリング会社によっては個人事業主の方の利用を拒否することもあります。
ただ近年では債権譲渡登記を不要でファクタリングを行う業者も増えています。
それに伴い個人事業主の利用に対応しているファクタリング会社も増加していますので、個人事業主の方はそのようなファクタリング会社を探してみましょう。
まとめ


近年、ニーズが急増している2社間ファクタリングについて詳しく解説して参りました。
まとめると、2社間ファクタリングは事業者とファクタリング会社の2社間のみで行うファクタリング契約のことで、売掛先(取引先)に知られることなく、資金調達をすることができます。
またメリット・デメリットについては以下の通りです。
◉売掛先にファクタリングの事実を知られない
◉調達スピードが速い
◉償還請求権がない
◉手数料は3社間ファクタリングよりも高め
◉銀行系ファクタリング会社は取扱をしていない
◉支払いができないと横領罪になる
◉審査では人柄も重視される
◉ファクタリング会社によっては個人事業主の利用を不可としている
2社間ファクタリングでは債権譲渡登記が必要ですが、ファクタリング会社によっては登記不要で契約に応じてくれることもあります。
取引先にファクタリングの利用事実がバレるのを避けたい、とお考えの方は、登記不要のファクタリング会社を利用しましょう。