ファクタリングは違法?法律・判例・逮捕事例をもとに詳しく解説

2019-08-02

ファクタリングは違法?

結論から言えば、ファクタリングは違法ではなく、れっきとした資金調達方法です。

現にファクタリングは「借りない資金調達法」として、主に中小企業から多くの注目を集めています。

しかしながら過去にはファクタリングを装ったヤミ金業者が逮捕されたり、ファクタリングが違法な貸付と見なされた判例が存在することも事実です。

そこで本記事では、ファクタリングに違法性はあるのか

  • ファクタリング業者が逮捕された事例
  • ファクタリングが違法になった判例

を踏まえて、法的観点を交え詳しく解説して参ります。

ファクタリングが違法と言われる理由

正義の女神と地球儀

ファクタリングとは、企業が有する未払の売掛金をファクタリング会社に売却することで資金調達をするという方法です。

しかしながらファクタリングは売掛金の売買ではなく、実際には売掛金を担保に貸付を行なう「売掛金担保融資である」という指摘がされています。

貸金業を行うには、金融庁から認可を受けなければいけませんが、ファクタリング会社はその認可を受けていません。

また(現在のところは)貸金に該当しないため、ファクタリングは利息制限法や総量規制の影響を受けず、法規制に縛られることなく手数料などを設定することができます。

実際には貸金と同意義であるにも関わらず、「認可を受けていない」「法規制の影響を受けない」ということでファクタリングは違法ではないかと言われているのです。

現在のところは、ファクタリングが全面的に違法な貸付であると裁可されたことはありません。

ただファクタリングが貸付であるか、債権売買であるかは定かではない部分が多く、以下のような問題点もあります。

  • ファクタリング手数料が高い→ヤミ金並みの暴利である
  • ファクタリングを装ったヤミ金業者が存在する

上記2つは単に指摘されているだけでなく、実際に訴訟事例や逮捕事例が起きています。

次にそれぞれ解説して参ります。

①ファクタリング手数料が高い

1ヶ月分の売掛金を手数料20%でファクタリング(=売却)したとします。

この時のファクタリング手数料を年利に換算すると、

20%×12ヶ月=240%

という大変な高金利になります。

現在の法律(利息制限法)では、貸出の際の金利上限は年利で20%までと決められています。

ファクタリング手数料はこれを大幅に上回るものです。

実際にファクタリングの手数料(金利)の高さは、ファクタリングを違法な貸付とする論拠の1つに挙げられています。

過去には高い手数料が原因で、ファクタリング利用企業がファクタリング会社を相手取り、訴訟を起こしたという裁判例も存在します。

次にその判例について見ていきましょう

大阪地裁平成29年3月3日の判例

事件番号平成26(ワ)11716
事件名債務不存在確認等請求事件(本訴),受取物引渡請求事件(反訴)
裁判年月日平成29年3月3日
裁判所大阪地方裁判所 第16民事部
判示事項の要旨原被告間のファクタリング取引が,その実態に照らし,債権の売買及びその買戻しでなく金銭消費貸借とその返済であり,利息制限法所定の制限利率で引直し計算をすると過払いが生じているとして,不当利得返還を認めた事例

この裁判は、ファクタリングを利用した運送会社が、ファクタリング契約が債権売買ではなく、「金銭消費貸借契約」であったとして、利息制限法を上回る手数料(=金利)分を過払金として返還を求め、訴えを起こしたという裁判です。

判決で争点になったのは、当該のファクタリング契約に「遡及義務」があったかどうかという点です。

*ファクタリングの遡及義務については後述します

実際の判決で、裁判所はファクタリングを貸付とみなして、過払金の返還をファクタリング会社に命じました。

ただこの判例では、ファクタリング契約そのものを違法としたわけではありません。

それでもファクタリング契約方式によっては、ファクタリングが違法になる(貸付とみなされる)ということを示したことで、ファクタリング業界に大きな影響を与えた判例と言えます。

②ファクタリングを装ったヤミ金業者が存在する

ファクタリングは法律が未整備な分野であり、現在のところは利息制限法を上回る手数料も違法にはなりません。

そのような背景から、ファクタリングを装ったヤミ金業者も少なからず存在します。

実際に、ファクタリングを装って違法な貸付を行なっていたとして、ヤミ金業者が逮捕されたという事例もあります。

金融取引装う「新型ヤミ金」が横行 標的は中小企業…警察・支援団体も対応本腰

企業の資金調達に用いる金融取引「ファクタリング」を悪用し、高額な手数料を徴収するヤミ金が横行している。実態は資金繰りに苦しむ中小企業に法外な高金利で貸し付ける手口で、ファクタリングの手数料に法的な制限がないことが背景にあるという。大阪府警は1月、貸金業法違反容疑で、ファクタリングを装ったヤミ金業者を全国で初めて摘発したが、業者の実態は不透明な部分が多く、被害の全容は判然としていないという。

産経WEST 金融取引装う「新型ヤミ金」が横行

ファクタリングを装ったヤミ金業者を利用してしまうと、

  • 高い手数料を要求される
  • 取引先にファクタリングの事実をバラすと脅される
  • 詐欺や別のヤミ金のターゲットにされる

などの被害にあってしまう恐れがあります。

くれぐれもファクタリング会社を選ぶ際には注意が必要です。

金融庁の注意勧告

近年、悪徳ファクタリング会社による被害が続出していることから、金融庁も注意勧告を出しています。

金融庁の注意喚起
金融庁:「その資金調達大丈夫ですか」より引用

このような悪徳ファクタリング会社は、ファクタリング会社の中でも一部ですが、そのせいでファクタリング自体が違法であるかのような扱いを受けてしまっているのが現状です。

ファクタリングが違法になるケース

justice

過去にファクタリングが違法な貸付とみなされた判例があることからも、ファクタリング契約の内容によってはファクタリングが違法になる可能性があります。

ただ違法になるのはファクタリング会社側であり、利用企業が罪に問われたというケースはありません。

次にどのようなケースでファクタリングが違法になるのかを見ていきましょう。

①遡及義務がある

ファクタリングを違法な貸付とした先の判例で、判決結果の大きな論拠となったポイントです。

遡及義務とは、約束手形や為替手形などの手形に関する制度のことです。

手形が不渡りとなった際には、裏書人や割引人に支払い義務が発生します。

ファクタリング契約における遡及義務とは、ファクタリングした売掛金が未回収となった際に利用企業がファクタリング会社に弁済を行う義務のことです。

ただ遡及義務があると、ファクタリングが債権の売買ではなく、債権を担保にした貸付であると見なされます。

大阪地裁の判決文によると、

「債権の売買であるからには買い手側は債権が不良債権化するリスクも負わなければならない、遡及義務があるファクタリング契約は債権売買ではなく、債権を担保にした貸付である」

という司法判断が下されています。

遡及義務があるファクタリング契約は、違法な契約になりますので、契約の際には遡及義務が含まれていないかご注意ください。

②担保・保証人を要求してくる。

ファクタリング契約の際に、債権が未回収となるリスクに備えて担保や保証人を要求することも違法になります。

これも①と同様で、担保や保証人が必要なファクタリング契約は、債権担保貸付であると見なされてしまうのが理由です。

ファクタリング契約の際に、担保や保証人を要求されたら、注意が必要です。

③手数料が相場よりも高い

現在のところはファクタリングは貸付ではないため、双方の同意があれば手数料に上限はありません。

しかしながらあまりにも高い手数料は、今後、規制の対象になる可能性があります。

ファクタリング手数料の相場に照らし合わせて、高い手数料でのファクタリング契約は結ばないようにしましょう。

結論:ファクタリングは違法ではない!

グッドサイン

結論として、現在のところはファクタリングは違法ではありません。

寧ろ銀行融資が受けられない中小企業やベンチャー企業にとっては、「新たな資金調達方法」・「借りない資金調達方法」であるとして、大きな注目を集めています。

ただファクタリングが債権売買であるか、債権担保融資であるかは専門家の中でも見解が別れるところでもあります。

仮にファクタリングが売掛金の売買を装った担保融資であると見なされた場合は、ファクタリングは違法となってしまいます。

またファクタリング契約内容によってはファクタリングが違法になるため、ご契約の際にはくれぐれも注意が必要です。

「遡及義務はつけられていないか?」

「保証人や担保を要求されていないか?」

といった点については、ご契約時に注意するようにしてください。

もしも違法なファクタリング会社を利用してしまったら?

もしも違法なファクタリング会社に騙されて、ファクタリングを行なってしまった場合はすぐに弁護士の方に相談するようにしてください。

場合によっては、高い手数料分を過払金として請求したり、ファクタリング契約自体を無効にできる可能性があります。

しかしながら、現状では高い手数料であったとしても、正規のファクタリング契約(担保・保証人がない、遡及義務がついていない)場合では、違法と見なされる可能性は低いでしょう。