ファクタリングの審査ポイント・審査に落ちる理由を解説

ファクタリングは借りない資金調達法と呼ばれている通り、融資とは異なる性質を持ちます。
金融機関から借入をする時と同様に、ファクタリングの利用時にも審査は行われますが、両者の審査には大きな違いがあります。
◉融資の審査ポイント→申し込み企業・事業者の信用力
◉ファクタリングの審査ポイント → 取引先の信用力・売掛債権の種類
融資とファクタリングでは審査で重視される対象に違いがあり、ファクタリングでは融資審査ほど申し込み企業・事業者の信用力は重視されません。
そのためファクタリングは信用力が低い(業績が赤字、債務超過、税金滞納など)事業者の方でも、利用することができます。
とは言ってもファクタリングの利用時には全く審査が行われないかというと、そうではありません。
本記事では、ファクタリングの審査で重視されるポイントやファクタリングの審査に落ちてしまう理由を分かりやすく簡単に解説して参ります。
ファクタリングの審査で重視されるポイント


ファクタリングの審査で重視されるポイントは以下の通りです。
◉取引先の信用力
◉売掛金の種類・回収リスク
◉二重譲渡をしていないか
◉申し込み企業・事業者の信用情報
◉ビジネスパーソンとしての信用(人柄)
それでは順番に解説していきましょう。
①取引先の信用力
端的に言ってしまえば、ファクタリングの審査でファクタリング会社が最も重視するのは
「売掛債権がきちんと支払われるかどうか」
です。
ファクタリング契約はノンリコース(償還請求権なし)が基本です。
ファクタリング利用後、売掛債権が未回収となってしまった場合のリスクはファクタリング会社が全て負うことになります。
そのためファクタリング会社としては、売掛債権が支払われるかどうか取引先の信用力を重点的に審査するのです。
取引先の信用力は「帝国データバンク」や「東京商工リサーチ」の情報開示サービスを利用し、審査されます。
取引先の業績や売上高などを把握することができ、仮に取引先の信用力に不安がある場合は審査落ちとなってしまいます。
②売掛金の種類・回収リスク
また売掛債権の回収リスクを見極める際には、売掛債権の種類やこれまでの支払い実績も重要です。
◉売掛先が行政機関
◉長年の取引関係にある
◉これまでに売掛金の支払い滞納がない
などの条件に当てはまれば、回収リスクは低いと見なされます。
売掛先が社保や国保である診療報酬債権のファクタリング(医療ファクタリング)利用の審査がほぼ間違いなく可決されるのは、このためです。
行政機関から発注を受けることが多い建設業も、ファクタリング審査に有利と言えるでしょう。
③二重譲渡をしていないか
ファクタリング利用後に売掛債権が未回収となってしまうケースとして取引先が支払い不能になる以外にももう1つ、ファクタリング会社が懸念していることがあります。
それはファクタリング利用者による「二重譲渡」です。
二重譲渡とは、単一の売掛債権を複数のファクタリング会社に売却することを指します。
正規の債権者と見なされるのは先にファクタリング契約を締結していたファクタリング会社で、後から契約をしたファクタリング会社は売掛債権を回収することができません。
そのため売掛債権の二重譲渡はしていないかどうか、審査時には債権譲渡登記の情報開示をして調査されます。
④申し込み企業・事業者の信用情報
融資審査ほどではありませんが、申し込み企業・事業者の信用情報も少なからずチェックされます。
仮に債務超過債務超過や税金滞納を起こしてしまっていて、資産が差し押さえられてしまっている場合、ファクタリングした売掛債権も差し押さえの対象になってしまう可能性があります。
その場合、ファクタリング会社はすぐに売掛債権を回収することができません。
またファクタリング契約後、利用者が破産してしまった場合は破産管財人などが優先的に売掛債権を回収してしまうこともあります。
したがって申し込み企業・事業者の信用力も審査されるのです。
とは言え、ファクタリングの審査では融資審査ほど厳しく信用力を審査されることはありません。
仮に赤字業績・債務超過などの状態に陥ってしまっていても、売掛債権の回収リスクが低く取引先の信用力が高ければファクタリング契約は可能です。
ファクタリングにおける信用情報は、
「多少はチェックされるが、融資審査ほどは厳しく見られない」
と理解して置いてください。
⑤ビジネスパーソンとしての信用(人柄)
「売掛債権を二重譲渡していないか?」
「ファクタリング契約後、売掛金を使い込んでしまわないか?」
ファクタリング会社としては、契約の際にこのような懸念もあります。
そのためファクタリングの審査では、申込者自身のビジネスパーソンとしての信用や人柄もチェックされます。
例え売掛先が行政機関であっても、取引先が上場企業だったとしてもビジネスパーソンとしての信用に欠けると判断されれば、審査落ちになってしまうでしょう。
ファクタリングの審査落ちになる理由


ファクタリングの審査落ちになってしまう理由として、考えられるのは以下のケースです。
◉取引先の信用力が低い・売掛債権の支払い滞納歴がある
◉支払いサイトが長い
◉年商に対して売掛債権の金額が大き過ぎる
◉債権譲渡禁止特約が付けられている
◉売掛債権の金額がファクタリング会社の買取可能金額を上回る
◉申し込み書類に虚偽・不備がある
それぞれ簡単に理由や注意点を解説していきましょう。
①取引先の信用力が低い・売掛債権の支払い滞納歴がある
取引先が破産寸前、という場合は売掛金の未回収となる可能性が高いためファクタリング契約をすることはできません。
不良債権をファクタリング会社に押し付けるため、ファクタリングを利用しようとお考えの事業者の方がいらっしゃいますが、信用調査によって判明してしまうためそれは不可能です。
また過去に度々売掛債権の支払いを遅延していたり、支払いを滞納している場合でも審査落ちになってしまいます、
②支払いサイトが長い
支払いサイトが長い売掛債権をファクタリングする場合、ファクタリング会社側に黒字倒産・キャッシュフローの悪化というリスクがあります。
そのため支払いサイトが長い売掛債権ですと、規模が小さいファクタリング会社は買取を拒否(審査落ち)するのです。
反対に言えば、長い支払いサイトでもファクタリング契約に対応しているかどうかで、ファクタリング会社の経営規模や信頼性を図ることも可能です。
また下請け法に反する支払いサイト(60日を超える支払い期日)は、違法です。
この場合は、売掛債権の種類や信用力に関わらず審査落ちになってしまうのでご注意ください。
③年商に対して売掛債権の金額が大き過ぎる
年商に対して売掛債権の金額が大きく上回る場合、ファクタリング会社は難色を示します。
支払い不能になる可能性が高く、依存度が高いため使い込みの心配もあるためです。
④債権譲渡禁止特約が付けられている
取引先との契約状況によっては、売掛債権に譲渡禁止特約が付けられている場合があります。
当然ながら譲渡禁止特約が設定されている売掛債権は、ファクタリングすることができません。
⑤売掛債権の金額がファクタリング会社の買取可能金額外
ファクタリング会社のホームページには必ず買取可能金額が明記されています。
申し込み前に、下限と上限を必ずチェックしましょう。
⑥申し込み書類に虚偽・不備がある
架空の請求書を自作し、ファクタリングの申し込みをする事業者の方は少なくありません。
そのような虚偽申し込みをしても、審査で必ずバレてしまいますので絶対に控えましょう。
また申し込み書類に不備がある場合でも、審査落ちになってしまう可能性があります。
くれぐれも申し込み書類に不備はないかどうか、重々確認するようにしてください。
ファクタリングの審査に通過するポイント
最後にファクタリングの審査に通過するポイントを解説して参ります。
①優良債権をファクタリングする
◉支払いサイトが短い
◉取引先の信用力が高い
◉長年の取引関係にある
上記のような売掛債権は、優良債権と言え、審査落ちになる可能性は極めて低いと言えます。
確実にファクタリングをしたいのであれば、このような優良債権で申し込みをするようにしましょう。
②ビジネスパーソンとしての信用力を高める
◉申し込み書類は事前に用意しておく
◉虚偽申告をしない
◉真摯な態度で面談に臨む
◉ホームページや事業内容をきちんと伝える
◉資金用途や現在のキャッシュフロー 概況は包み隠さない
ビジネスパーソンとしての信用は契約の際に非常に重要です。
信用が高ければ、二重譲渡や使い込みの可能性が低いと見なされファクタリング審査に有利に働くでしょう。
まとめ
ファクタリングは融資とは異なり、審査で重視されるポイントにも違いがあります。
基本的にファクタリングの審査で重要視されるのは、ファクタリング会社にとって
「売掛債権を確実に回収できるかどうか」
です。
取引先の信用力や売掛債権の種類などが審査対象となり、申込者の信用情報は融資時ほど重要視されません。
そのためファクタリングは融資審査に落ちてしまったという事業者の方でも、利用することができ、資金調達をすることが可能です。
ファクタリングの審査ポイントを抑えて、申し込みをしましょう。