{最新}コロナ対策によって受けられる公的金融機関による融資を解説致します!

2020年、日本中いや世界中を混乱させている新型コロナウイルス。2020年2月くらいから政府の本格的な対応に乗り出し、様々な施策を行なってきましたが、その中でも最も最初に行なった対策が中小企業の資金繰り対策でした。
具体的には日本政策金融公庫などの公的金融機関に新型コロナウイルス感染症特別貸付制度を融資させ、信用保証協会にはセーフティネット保証制度を拡充し銀行からお金を借りやすくさせました。
2020年の公的融資制度は新型コロナウイルス感染症関連の貸付なしには語れないと言っても過言ではないほど、今や多くの中小企業がこれらの資金の借入を行なっています。
新型コロナウイルス感染症特別貸付制度と、セーフティネット保証4号5号について詳しく解説していきます。
コロナ禍による本格的な不況は2020年下半期に到来すると懸念されています。
借入制度をしっかりと理解し、十分な資金繰り対策を行いましょう。
日本政策金融公庫の新型コロナウイルス感染症特別貸付


日本政策金融公庫の新型コロナウイルス感染症特別貸付制度は、低金利で借りることができるものと、無理しで借りることができるものの2種類に分かれます。
それぞれ、対象になる条件等が複雑に異なるので詳しく解説していきます。
商品概要
適用条件
①コロナ感染症の影響で売上が前年または前々年同よりも5%以上減少
②業歴が1年未満の場合には、直近3ヶ月間平均売上高よりも5%以上売上が減少していた場合
融資限度額:国民生活事業:別枠で最大6,000万円、中小企業事業:別枠で最大3億円
返済期間:設備資金20 年以内<据置期間5年以内>、運転資金15 年以内<据置期間5年以内>
適用金利 1.36%~1.55%の基準金利から0.9%優遇
実に適用金利は0.46%〜0.65%という超低金利で借りることができます。
さらに、別枠での融資であるため、すでに日本政策金融公庫で借入を行なっており「これ以上借りることができない」という人でも別枠で借りることができる可能性があります。
無利子になる条件
一時期、政府が「無利子貸付」を強調していましたが、無利子貸付の基本となるのは前述した「新型コロナウイルス感染症特別貸付」です。
最初に新型コロナウイルス感染症特別貸付を借りておき、以下の条件に該当した場合のみ後から利息相当額が返還される形になります。
無利息が適用される条件は以下のような事業者の方です。
個人小規模事業者:要件なし
個人中小企業者:売上高▲20%以上
法人小規模事業者:売上高▲15%以上
法人中小企業者:売上高▲20%以上
このように小規模の個人事業者であれば誰でも適用になりますが、法人の場合には制限があります。
商工中金でも取り扱いあり
国の新型コロナウイルス感染症特別貸付は日本政策金融公庫でしか取り扱いがないというイメージがありますが、同じく政府系金融機関の商工中金でも取り扱いがあり、商品概要は以下のようになっています。
適用条件:
①直近1カ月の売上高が、前年又は前々年の同期比5%以上減少している方
②業歴が3カ月以上1年1カ月未満の場合や、店舗増加や合併、業種転換等により
前年(前々年)同期と単純に比較できない場合等で、直近1カ月の売上高が次の
いずれかと比較して5%以上減少している方
a.過去3カ月(直近1カ月を含む)の平均売上高
b.令和元年12月の売上高
c.令和元年10~12月の平均売上高
融資限度額:20億円以内
返済期間:設備資金20 年以内<据置期間5年以内>、運転資金15 年以内<据置期間5年以内>
適用金利 1.11%の基準金利から0.9%優遇
このように、実は商工中金は0.21%の金利で借りることができるので日本政策金融公庫よりも金利が低くなっています。
日本政策金融公庫はコロナ関連の貸付で非常に混み合っているため、借入を希望する場合には商工中金へ相談するのもよいでしょう。
セーフティネット4号・5号とは
民間の金融機関からお金を借りる場合には、セーフティネット保証という信用保証協会の保証を付けてコロナ関連の資金を借りるとよいでしょう。
これらの保証制度はコロナ禍による経営悪化に対して積極的に保証を行なっており、売上が大幅に減少した企業ほど借りやすくなっています。
また、この制度を利用し金利が優遇された地方自治体の制度融資になっているという点も理解しておきましょう。
民間金融機関からコロナ対策資金を借りるケースについて詳しく解説します。
セーフティネット4号の条件
セーフティネット4号保証の条件は以下の通りです。
「売上高が前年同月比▲20%以上減少」
売上がコロナウィルス感染症によって前年同月比で20%以上減少した場合には、信用保証協会が100%保証を行います。
セーフティネッ4号保証は100%信用保証協会がリスクを負う保証制度です。
そのため、4号保証さえ得られれば銀行には全くリスクがないので高い確率で融資を受けることができます。
セーフティネット5号の条件
一方、セーフティネット5号保証の条件は4号よりも緩くなっており、以下の通りです。
「売上高が前年同月比▲5%以上減少」
5号保証は「特に重大な影響が生じている業種について、一般枠とは別枠(最大2.8億円、4号と同枠)で借入債務の80%を保証する」というもので、
「特に重大な影響が生じている業種」には508業種が指定されているので、ほとんどの業種が対象になります。
簡単に言えば売上が前年同月比で5%以上20%未満減少していたら5号保証の対象になります。
5号保証は責任共有制度と言って、もしも融資金が焦げ付いた際には銀行も一部負担を負います。
そのため、4号保証のように必ずしも保証を得られればお金を借りることができるわけではありません。
制度資金として銀行から融資される
これらの保証制度を活用して、都道府県が制度融資を用意しています。
制度融資とは地方自治体が主だって商品内容を設計し、信用保証協会が保証を行い、銀行が融資をするという融資制度です。
コロナ禍によって、セーフティネット4号もしくは5号保証を得ていることが融資の条件としている低金利の制度資金を各自治体で提供しています。
例えば東京都のコロナ関連の融資制度は以下の通りです。
適用条件:最近3か月の売上又は今後3か月の売上見込みが令和元年 12 月以前の直近同期比で5%以上減少
融資限度額:2億8千万円(無担保8千万円)
返済期間:設備資金15 年以内<据置期間5年以内>、運転資金10 年以内<据置期間5年以内>
適用金利 ・融資期間に応じて、1.7%~2.4%以内(責任共有制度対象外の場合(4号保証の場合)、1.5%~2.2%以内)
制度融資の内容は地方自治体によって異なるため金利等の条件は一律ではありませんが、コロナ禍によって苦しむ企業の資金繰りを円滑にするための融資制度ですので基本的には1%台の低金利で借りることができます。
なお、今は制度融資も国の利子補給制度の対象になったため、コロナ関連の制度融資は無利息で3年間は借りることができます。
日本政策金融公庫のコロナ貸付の審査基準


日本政策金融公庫のコロナ貸付の審査は結論的に言えばそれほど厳しくありません。
業況などのチェックも行いますが、基本的には企業を倒産させないための融資制度ですので、条件に合致すれば高い確率で融資を受けることができるでしょう。
ただし、コロナ禍とは無関係にそもそも業況が悪化している企業に関してはこの限りではありません。
日本政策金融公庫のコロナ関連資金の審査について詳しく見ていきましょう。
決算書などから業況をチェック
基本的にな決算書などから業況を確認します。
日本政策金融公庫の審査では決算書3期分を提出しなければなりません。
ここで売上や利益の推移や資産状況を確認して「返済可能な企業」かどうかという基本的な審査を行います。
基本的な企業状況を把握するもので、この審査はどのような資金を借りる場合にも行われます
資格審査が重視される
コロナ対策貸付のような緊急性の高い融資の審査では、基本的には融資をすることありきで審査が行われます。
新型コロナウイルス感染症特別貸付の申込条件については前述した通りですが、審査はこの条件に申込をきた事業者が合致しているかどうかという視点が最も重視されます。
多額の税金が投入されて融資を行なっているため、「返済できるかどうか」よりも「決められた申込条件に合致しているかどうか」が重視されます。
条件に合致すれば高い確率で借入可能
新型コロナウイルス感染症特別貸付は、国策として行われている中小企業の資金繰り円滑化のための融資制度です。
そのため、「返済することができるかどうか」ということはあまり意識されません。
むしろ「放っておいたら資金ショートしてしまう可能性が高い企業に融資を行い、新型コロナウイルスの感染拡大が収まるまで時間を稼ぐための資金」という位置づけです。
そのため、条件に合致している企業であれば高い確率で融資を受けることができるでしょう。
逆に条件に合致しない企業はどんなに優良企業でも借りることはできません。
他社の借入状況
審査では他社からどの程度の借入があるのかという点も確認されます。
いくらコロナウイルスによって売上の大幅な減少があった企業でも、すでに銀行やノンバンクから何件を借入を行なっており、いずれにしても企業の継続が厳しかったと判断されるような企業は融資を受けることはできない可能性があります。
業況と同時にどれだけの借入があるのかによって、コロナとは無関係に企業の安全性を知ることができ、こちらも非常に重要な審査基準となります。
銀行のコロナ貸付の審査基準
銀行のコロナ貸付の審査は主に信用保証協会が行います。
信用保証協会もこの資金に関しては「条件に合致しているかどうか」という点がメインになり、比較的に借りやすい融資だと言えるでしょう。
信用保証協会が行う銀行のコロナ関連の貸付制度の審査について詳しく解説していきます。
審査をするのは信用保証協会
お金を借りるのは銀行で制度を用意しているのは都道府県ですが、新型コロナウイルス感染症関連の制度融資を民間金融機関から借りる場合には、審査をするのは信用保証協会になります。
セーフティネット4号保証に該当すれば全額信用保証協会が保証するのでお金を貸している銀行にリスクはありません。
そのため、銀行は信用保証の保証を得られればほぼ確実に融資を行います。
民間金融機関からコロナ関連融資を借りる場合には信用保証協会の審査が借入の可否を左右するものと理解しておきましょう。
条件に合致し返済可能と判断されることが条件
セーフティネット保証の審査は第一条件として、セーフティネット保証の条件に合致するだけの売上の減少があるかという点です。
日本政策金融公庫と同じように、条件に合致すれば高い確率で融資を受けることができる可能性があります。
ただし、そもそもコロナ禍の前から業況が悪化しており借入によって資金調達しても救済の余地がないと判断されるような企業の場合には審査を通過することは難しくなります。
信用保証協会の審査に通過できるのは、新型コロナウイルスの影響によって基準以上まで売上の減少があり、さらにコロナが収束すれば事業継続可能と判断できる企業だと言えるでしょう。
信用保証協会の審査をクリアすれば高い確率で借入可能
信用保証協会の審査をクリアすることができれば高い確率で融資を受けることができます。
制度融資では銀行も自治体も審査を行いますが、「お金を貸してもいい企業かどうか」の審査を行うのは信用保証協会で、あとは書類の確認などがメインになります。
コロナ関連貸付だけでなくても、信用保証協会の保証付融資においては、実質的な審査を行なっているのは信用保証協会で、信用保証協会の審査さえ通過できれば高い確率で審査に通過できると考えて問題ありません。
まとめ
新型コロナウイルス感染症対策として、国は様々な公的融資制度を用意しています。
公的機関から直接融資を受けるのであれば日本政策金融公庫や商工中金に申込を行いましょう。
また、民間の金融機関からお金を借りるのであれば、信用保証協会のセーフティネット保証4号5号を利用して融資を受けることが一般的です。
どちらも別枠ですので、両方を利用することもできます。
コロナ禍前には通常の事業活動ができていた会社であれば条件さえ満たしていれば融資を受けることができる可能性は決して低くありません。
公的な融資制度を十二分に活用して、未曾有の不景気を乗り越えましょう。